地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)概要
本案は、近年における地域旅客運送サービスを取り巻く厳しい状況に鑑み、その持続可能な提供の確保に資する関係者の連携と協働による取組を一層推進するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部改正
1 法律の目的に、地域の関係者の連携と協働を推進すること等を追加すること。
2 国は、必要な関係者相互間の連携と協働の促進に努めなければならないものとすること。
3 道路運送高度化事業に、乗合バス事業者又はタクシー事業者が円滑な運送の実施を確保するために行う事業であって、運行経路指示システム等の先端的な技術を活用することにより旅客の運送に要する時間の短縮に資するものとして、一定の要件を満たす設備を用いるもの等を追加すること。
4 地方公共団体と交通事業者が、一定の区域、期間について、運行系統、運行回数、費用負担等を定めた協定を締結しているときは、協定に定める事項を地域公共交通利便増進実施計画に記載できること。
5 鉄道の再構築に関する制度の創設等
㈠ 地方公共団体又は鉄道事業者は、大量輸送機関としての鉄道の特性を生かした地域旅客運送サービスの持続可能な提供が困難な状況にある鉄道の区間について、当該区間に係る交通手段再構築に関する方針(以下「再構築方針」という。)の作成に関し必要な協議を行うための協議会(以下「再構築協議会」という。)を組織するよう国土交通大臣に要請することができ、大臣は、当該要請に係る区間が、交通手段再構築を実施するためには関係者相互間の連携と協働の促進が特に必要等の要件を満たす区間(以下「特定区間」という。)であると認めるときは、再構築協議会を組織すること。
㈡ 再構築協議会の構成員は国土交通大臣、関係地方公共団体及び関係公共交通事業者等とし、構成員は再構築協議会において協議が調った事項については、その結果を尊重しなければならないこと。
㈢ 再構築協議会は、再構築方針を作成するため必要があると認めるときは、特定区間に係る交通手段再構築の有効性の実証を行う事業を実施するための計画を作成することができること。
㈣ 主務大臣は、基本方針において、再構築方針の作成に関する基本的な事項を定めるとともに、再構築協議会は、特定区間に係る交通手段再構築についての協議が調ったときは、基本方針に即して、再構築方針を作成すること。
二 鉄道及びタクシーについて、地域の関係者間の協議が調ったときは、国土交通大臣への届出により運賃等の設定を可能とするため、鉄道事業法及び道路運送法を改正すること。
三 この法律は、一部を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。