海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)概要
本案は、海上旅客輸送の安全の確保等を図るため、一般旅客定期航路事業等に係る許可制度の充実、対外旅客定期航路事業等に係る登録制度の導入及び旅客運送船舶運航事業に係る安全統括管理者等の資格、職務等に関する規定の整備を行うとともに、旅客の輸送の用に供する小型船舶の乗組員に対する教育訓練の実施の船舶所有者への義務付け等の措置を講ずるほか、安定的な国際海上輸送の確保に資するため、対外船舶貸渡業者等が作成する外航船舶確保等計画の認定制度を創設する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 海上運送法の一部改正
1 一般旅客定期航路事業等の許可の欠格事由を拡充すること。
2 安全統括管理者及び運航管理者の選任に資格者要件を導入し、資格者の試験制度を創設すること。
3 国土交通大臣は、法令等に違反した事業者に対し、船舶等の使用停止を命ずることができること。
4 対外旅客定期航路事業等について登録制度を導入し、許可の場合と同様の欠格事由を適用すること。
5 小型船舶のみを用いる旅客不定期航路事業の許可を受けようとする者は、安全人材確保計画を国土交通大臣に提出しなければならないこととするとともに、当該許可について更新制を導入すること。
6 国土交通大臣は、安定的な国際海上輸送の確保に資するため、外航船舶の導入及び確保に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針を定めること。
7 対外船舶貸渡業者等は、単独又は共同で、外航船舶の確保等についての計画を作成し、国土交通大臣の認定を申請することができ、国土交通大臣は、計画が6の方針に適合する場合等は、認定をすること。
8 法人の代表者等がその法人の業務に関し、輸送の安全確保命令に違反したときは、行為者を罰するほか、その法人に対して、一億円以下の罰金刑を科すこと。
二 船員法の一部改正
船舶所有者は、小型船舶の乗組員について、船舶が航行する海域の特性に応じた操船等に関する教育訓練を実施しなければならないこと。
三 船舶職員及び小型船舶操縦者法の一部改正
特定操縦免許は、小型船舶操縦士国家試験に合格し、かつ、特定操縦免許講習の課程を修了した者に行うものとし、国土交通大臣は、特定操縦免許を受ける者の乗船履歴に応じ、航行する区域について限定をすることができること。
四 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。