所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)概要
本案は、所有者不明土地の利用の円滑化及び管理の適正化等を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 法律の目的に、所有者不明土地の管理の適正化を図ることを追加すること。
二 所有者不明土地の利用の円滑化のための措置
1 地域福利増進事業及び土地収用法の特例の対象となる特定所有者不明土地として、所有者不明土地のうち、その利用が困難であり、かつ、引き続き利用されないことが確実であると見込まれる建築物として建築物の損傷、腐食その他の劣化の状況、建築時からの経過年数その他の事情を勘案して定める基準に該当するものが存する土地を追加すること。
2 地域住民等の共同の福祉又は利便の増進を図るために行われる地域福利増進事業の対象に、備蓄倉庫等の災害対策に関する施設を整備する事業及び再生可能エネルギー発電設備を整備する事業を追加すること。
3 都道府県知事による地域福利増進事業に係る裁定申請書等の縦覧期間を、六月間から二月間に短縮すること。
4 地域福利増進事業のための土地等使用権の存続期間について、民間事業者が購買施設や再生可能エネルギー発電設備等を整備する事業については、その上限を現行の十年から二十年に延長すること。
三 所有者不明土地の管理の適正化のための措置
1 所有者による管理が実施されておらず、かつ、引き続き管理が実施されないことが確実であると見込まれる所有者不明土地(以下「管理不全所有者不明土地」という。)について、周辺の土地における災害等の発生の防止のための市町村長による勧告、命令、代執行制度を創設すること。
2 管理不全所有者不明土地等について、民法の規定において利害関係人に限定されている管理不全土地管理命令等の請求を市町村長ができること。
3 都道府県知事及び市町村長は、勧告等を行うため当該勧告等に係る土地の土地所有者等の探索のために必要な土地所有者等関連情報の利用及び提供を行うことができること。
四 市町村は、所有者不明土地の利用の円滑化等を図るための施策に関する計画の作成及び同計画の作成等に関する協議等を行うための所有者不明土地対策協議会の設置ができること。
五 市町村長は、所有者不明土地の利用の円滑化等の推進を図る活動を行うことを目的とする法人を所有者不明土地利用円滑化等推進法人として指定することができること。
六 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。