(国土交通委員会)
道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)の概要
本案は、最近の自動車技術の進展に鑑み、自動車の安全性の確保及び自動車による公害の防止その他の環境の保全を図るため、一定の条件の下で自動車を自動的に運行させることができる装置を保安基準の対象装置として追加するとともに、当該装置に組み込まれたプログラム等の改変による自動車の改造に係る行為についての許可制度を創設するほか、自動車検査証の電子化、自動車の型式指定制度に係る是正命令の創設等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 自動運行装置(プログラムにより自動的に自動車を運行させるために必要な装置であって、その作動状態の確認に必要な情報を記録するための装置を備えるもの)を保安基準の対象装置に追加すること。また、国土交通大臣は、自動運行装置が使用される条件(走行環境条件)を当該装置ごとに付すること。
二 自動車の検査において、基準適合性審査に必要な技術情報の管理に関する事務を独立行政法人自動車技術総合機構(以下「機構」という。)に行わせること。
三 分解整備の範囲を、自動運行装置等の作動に影響を及ぼすおそれがある整備等にまで拡大し、その名称を特定整備に改め、事業として行うときは従前どおり地方運輸局長の認証を必要とすること。また、自動車製作者等に対し、点検整備に必要な技術情報を特定整備事業者等へ提供することを義務付けること。
四 自動運行装置等に組み込まれたプログラム等の改変による改造であって、当該改造のためのプログラム等が適切なものでなければ自動車が保安基準に適合しなくなるおそれのあるものを、電気通信回線を使用する方法等によりする行為等に関し、国土交通大臣による許可制度を創設するとともに、許可に関する事務の一部を機構に行わせること。
五 国土交通大臣は、型式指定の申請者が型式指定制度に係る国土交通省令の規定に違反していると認めるときは、当該違反の是正のために必要な措置をとるべきことを命じ、又は当該違反を是正するために必要な措置が講じられたものと認めるまでの間、当該指定の効力を停止することができること。
六 自動車検査証は、車台番号、使用者の氏名又は名称等が記載され、かつ、これらの事項、有効期間等が電子的方法等により記録されたカードとすること。
七 国土交通大臣は、継続審査に係る自動車検査証への記録等に関する事務及び自動車検査証の変更記録に関する事務を、それぞれ国土交通省令で定める要件を備える者に委託することができること。
八 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。