生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第9号)概要
本案は、単身高齢者世帯の増加等を踏まえた安定的な居住の確保の支援、被保護世帯の子どもへの支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立の更なる促進を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 生活困窮者自立相談支援事業において、居住に関する相談支援等を行うことを明確化すること。
二 生活困窮者住居確保給付金について、家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、支給対象者の範囲を拡大すること。
三 生活困窮者一時生活支援事業の名称を生活困窮者居住支援事業に改め、都道府県等は、同事業のうち必要があると認めるものを行うように努めるものとすること。
四 無料低額宿泊所について、事前届出の実効性確保のため、市及び福祉事務所設置町村の長は、届出がされていない疑いがある施設を発見したときは、遅滞なく、都道府県知事に通知するよう努めるとともに、設置に係る届出をせず、又は虚偽の届出をした場合、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処するものとすること。
五 被保護者である子どもの進路選択における教育、就労及び生活習慣に関する問題につき、訪問等により当該子ども及び当該子どもの保護者からの相談に応じ、助言等を行う子どもの進路選択支援事業を創設すること。
六 進学準備給付金の名称を進学・就職準備給付金に改め、被保護者である子どもが高等学校等卒業後に就職して自立する場合に同給付金を支給すること。
七 生活困窮者家計改善支援事業の国庫補助率を引き上げ、同事業の全国的な実施を推進するとともに、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との間で切れ目のない支援を実現できるよう、被保護者が生活困窮者向けの事業を利用できる仕組みを創設すること。
八 多様で複雑な課題を抱える生活困窮者等への支援を強化するため、支援関係者が情報交換や支援体制の検討を行う会議体の設置を推進すること。
九 生活保護制度における医療扶助の適正化及び被保護者健康管理支援事業の効果的な実施等を図るため、都道府県が広域的な観点からデータの分析等を行い、市町村に情報提供等の援助を行う仕組みを創設すること。
十 この法律は、一部の規定を除き、令和七年四月一日から施行すること。