旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案(厚生労働委員長提出、衆法第1号)概要
本案は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給に関し必要な事項等を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 昭和二十三年制定の旧優生保護法の下、多くの方々が、特定の疾病や障害を有すること等を理由に、生殖を不能にする手術又は放射線の照射を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてきたことに対して、我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびすること、今後、これらの方々の名誉と尊厳が重んぜられるとともに、このような事態を二度と繰り返すことのないよう、共生社会の実現に向けて、努力を尽くす決意を新たにすること、国がこの問題に誠実に対応していく立場にあることを深く自覚し、この法律を制定することを明らかにする前文を設けること。
二 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者の定義を定めるとともに、国は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対し、三百二十万円の一時金を支給すること。
三 厚生労働大臣は、一時金を受けようとする者の請求に基づき、一時金を受ける権利の認定を行うこと。この請求は、都道府県知事を経由してすることができることとし、請求の期限は施行日から五年とすること。
四 都道府県知事及び厚生労働大臣は、一時金を受ける権利の認定に必要な調査を行うものとすること。
五 厚生労働大臣は、一時金の請求を受けたときは、請求者が旧優生保護法に基づく優生手術を受けた者であることを確認できる場合を除き、厚生労働省に設置する旧優生保護法一時金認定審査会(以下「審査会」という。)に審査を求め、その審査の結果に基づき、一時金を受ける権利の認定を行うものとすること。
六 審査会は、請求者及び関係人の陳述、医師の診断の結果、診療録の記載内容その他の請求に係る情報を総合的に勘案して、事案の実情に即した適切な判断を行うものとすること。
七 国及び地方公共団体は、一時金の支給手続等について十分かつ速やかに周知するための措置を適切に講ずるものとすること。また、国及び都道府県は、相談支援その他一時金の請求に関し利便を図るための措置を適切に講ずるものとすること。
八 国は、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査その他の措置を講ずるものとすること。
九 国は、この法律の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解を得るよう努めるものとすること。
十 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行すること。