働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第63号)概要
本案は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を推進するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 働き方改革の基本的な考え方を法律上明らかにするとともに、国は、労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針を定めなければならないこととすること。
二 時間外労働の上限について、月四十五時間及び年三百六十時間とし、臨時的にこれを超えて労働させる必要がある場合であっても、年七百二十時間、月百時間未満(休日労働を含む。)、複数月平均八十時間(休日労働を含む。)を限度とすること。また、これに違反した使用者に対し、所要の罰則を科すこととすること。
三 月六十時間を超える時間外労働に係る五割以上の割増賃金率の中小事業主への適用猶予措置を廃止すること。
四 使用者は、年次有給休暇の日数が十日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち五日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととし、これに違反した使用者に対し、所要の罰則を科すこととすること。
五 高度の専門的知識等を要する対象業務に就き、かつ、一定額以上の年収を有するとともに職務が明確に定められている者を対象として、法令に定める手続を経た上で、労働基準法第四章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用除外とする一方、年間百四日の休日確保等の健康確保措置を義務付ける新たな制度を創設すること。
六 フレックスタイム制の清算期間の上限を一箇月から三箇月に延長すること。
七 事業主は、労働者の健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定を講ずるように努めなければならないこととすること。
八 事業者は、産業医に対し、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければならないこととする等、産業医・産業保健機能の強化を図ること。
九 短時間労働者、有期雇用労働者及び派遣労働者について、不合理な待遇及び差別的取扱い等を禁止するとともに、通常の労働者との間の待遇の相違の内容、理由等を説明することを事業主に義務付けるほか、行政による裁判外紛争解決手続の整備等を行うこと。
十 この法律は、一部の規定を除き、平成三十一年四月一日から施行すること。