障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第17号)概要
本案は、障害者等の地域生活及び就労を支援するための施策の強化により、障害者等が希望する生活を営むことができる社会を実現するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 グループホームの支援内容に、一人暮らし等を希望する者に対する支援、退居後の相談等が含まれることを明確化すること。
二 地域の相談支援の中核的役割を担う基幹相談支援センター並びに緊急時の対応及び施設等からの地域移行の推進等を担う地域生活支援拠点等の整備を市町村の努力義務とすること。
三 障害福祉サービスとして就労アセスメントの手法を活用した就労選択支援を創設するとともに、ハローワークはこの支援を受けた者に対して、その結果を参考に職業指導等を行うものとすること。
四 雇用義務の対象外である週所定労働時間が特に短い重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者について、実雇用率の算定対象とすること。また、障害者雇用調整金等の支給方法を見直すとともに、企業が実施する職場定着等の取組への助成措置を強化すること。
五 精神科病院の管理者は、精神障害者の家族等が同意又は不同意の意思表示を行わない場合に、市町村長の同意により医療保護入院を行うことができるものとするとともに、医療保護入院の期間を定め、医療保護入院者について、一定期間ごとに入院の要件の確認を行うものとすること。また、市町村長同意による医療保護入院者等に対し、その者の求めに応じ、入院者訪問支援員の訪問により入院者本人の話を誠実かつ熱心に聞き、相談に応じる入院者訪問支援事業を創設すること。
六 精神科病院の管理者は、精神障害者への虐待を防止するため、従事者等への研修、普及啓発等を行うこととすること。また、従事者による虐待を発見した者が都道府県等に通報する仕組みを整備すること。
七 難病患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する医療費助成について、助成開始の時期を申請日から重症化したと診断された日に前倒しすること。また、指定難病要支援者証明事業等を創設するほか、難病相談支援センターと福祉・就労に関する支援を行う者の連携を推進する等、難病患者の療養生活環境整備事業及び小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を強化すること。
八 障害福祉サービス等、指定難病及び小児慢性特定疾病に係る各データベースについて、第三者提供の仕組み等の規定を整備すること。
九 この法律は、一部の規定を除き、令和六年四月一日から施行すること。