新型インフルエンザ等対策特別措置法案(内閣提出第五八号)の概要
本案は、新型インフルエンザ等の発生時において国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにするため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 総則的事項
1 国、地方公共団体、指定公共機関、事業者及び国民の責務を定めること。
2 国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は必要最小限のものでなければならないこと。
3 政府及び地方公共団体は、新型インフルエンザ等の発生に備えて行動計画を作成すること。
二 新型インフルエンザ等の発生時における措置
1 国及び都道府県は対策本部を設置すること。
2 政府対策本部長は特定接種を実施するよう指示できること。
3 検疫に関して、停留施設の確保や、発生国からの航空機等の運航制限を要請できること。
4 都道府県知事は医療関係者に対し医療等を行うよう要請及び指示できること。
三 新型インフルエンザ等緊急事態措置
1 政府対策本部長は、一定の要件に該当する新型インフルエンザ等が国内で発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態宣言を行い、市町村長は市町村対策本部を設置すること。
2 都道府県知事は、住民に対し不要不急の外出の自粛を要請でき、学校や興行場等の管理者等に施設の使用の制限等を要請及び指示できること。
3 政府対策本部は市町村の実施する住民に対する予防接種について、その実施指示を行うこと。
4 医療機関が不足する場合に、都道府県知事が臨時の医療施設を開設し、土地等を一時的に使用することができること。
5 都道府県知事は医薬品、食品等について、売渡しを要請及び収用できること。
四 財政上の措置等
1 国及び都道府県は、特別の処分が行われたときは損失を補償しなければならないこと。
2 都道府県は、要請等に従って医療の提供を行う医療関係者の損害を補償しなければならないこと。
3 国は、地方公共団体の実施する措置に要する費用に対して、標準税収入に応じて負担割合をかさ上げすること。
五 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。