不正アクセス行為の禁止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)の概要
本案は、近年における不正アクセス行為の手口の変化に対応し、その禁止の実効性を確保するため、他人の識別符号を不正に取得する行為等を禁止するほか、不正アクセス行為に係る罰則の法定刑を引き上げる等の措置を講ずるもので、その主な内容は次のとおりである。
一 識別符号の不正流通の防止
1 不正アクセス行為の用に供する目的で、他人の識別符号を取得する行為を禁止するとともに、その違反者を処罰すること。
2 不正アクセス助長行為として規制されている他人の識別符号の提供行為の範囲を拡張し、どの特定電子計算機の特定利用に係るものであるかが明らかでない識別符号を提供する行為を禁止するとともに、その違反者を処罰すること。
3 不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得された他人の識別符号を保管する行為を禁止するとともに、その違反者を処罰すること。
4 アクセス管理者になりすまし、その他アクセス管理者であると誤認させて、次に掲げる行為をすることを禁止するとともに、その違反者を処罰すること。
(一) アクセス管理者が利用権者に対し識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く行為
(二) アクセス管理者が利用権者に対し識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電子メールにより利用権者に送信する行為
二 不正アクセス行為からの防御に関する啓発及び知識の普及に努める者に都道府県公安委員会を加えること。
三 国家公安委員会、総務大臣及び経済産業大臣は、アクセス管理者によるアクセス制御機能の高度化等の措置を支援することを目的として組織する団体であって、当該支援を適正かつ効果的に行うことができると認められるものに対し、必要な情報の提供その他の援助を行うよう努めなければならないこと。
四 不正アクセス行為をした者及び相手方に不正アクセス行為の用に供する目的があることの情を知って他人の識別符号を提供した者に係る罰則の法定刑を引き上げること。
五 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一月を経過した日から施行すること。