こども基本法案(加藤勝信君外十名提出、衆法第二五号)の概要
本案は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、こども施策を総合的に推進するもので、その主な内容は次のとおりである。
一 この法律において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいうこと。また、「こども施策」とは、こどもに関する施策及びこれと一体的に講ずべき施策をいうこと。
二 こども施策は、全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること等を基本理念として行われなければならないこと。
三 国及び地方公共団体の責務並びに事業主及び国民の努力について規定すること。
四 政府は、毎年、国会に、我が国におけるこどもをめぐる状況及び政府が講じたこども施策の実施の状況に関する報告を提出するとともに、これを公表しなければならないこと。
五 政府は、こども施策を総合的に推進するため、こども施策に関する大綱(以下「こども大綱」という。)を定めなければならないこと。また、都道府県は、こども大綱を勘案して、都道府県こども計画を定めるよう努めるものとし、市町村は、こども大綱等を勘案して、市町村こども計画を定めるよう努めるものとすること。
六 基本的施策として、五に掲げるもののほか、こども施策に対するこども等の意見の反映、こども施策に係る支援の総合的かつ一体的な提供のための体制の整備等、関係者相互の有機的な連携の確保等、この法律及び児童の権利に関する条約の趣旨及び内容についての周知、こども施策の充実及び財政上の措置等について規定すること。
七 こども家庭庁に、特別の機関として、こども政策推進会議を置くこと。また、同会議は、こども大綱の案を作成するに当たり、こども及びこどもを養育する者、学識経験者、地域においてこどもに関する支援を行う民間団体その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすること。
八 この法律は、令和五年四月一日から施行すること。
九 国は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況及びこども施策の実施の状況を勘案し、こども施策が基本理念にのっとって実施されているかどうか等の観点からその実態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備その他の基本理念にのっとったこども施策の一層の推進のために必要な方策について検討を加え、その結果に基づき、法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとすること。