孤独・孤立対策推進法案(内閣提出第三六号)の概要
本案は、近時における社会の変化を踏まえ、日常生活若しくは社会生活において孤独を覚えることにより、又は社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている状態にある者への支援等に関する取組について、その基本理念、国等の責務、施策の基本となる事項、孤独・孤立対策推進本部の設置等について定めるもので、その主な内容は次のとおりである。
一 孤独・孤立の状態は人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るものであり、社会の変化により孤独・孤立の状態にある者の問題が深刻な状況にあることに鑑み、孤独・孤立の状態にある者の問題が社会全体の課題であるとの認識の下に、社会のあらゆる分野において孤独・孤立対策の推進を図ることが重要であることを旨とすること等を基本理念として孤独・孤立対策を行わなければならないこと。
二 国及び地方公共団体の責務、国民の努力、関係者の連携及び協力等について定めること。
三 孤独・孤立対策に関する施策として、その推進を図るための重点計画の作成、孤独・孤立対策に関する国民の理解の増進、相談支援の推進、関係者相互の連携及び協働の促進、当事者等への支援を行う人材の確保、養成及び資質の向上、地方公共団体及び当事者等への支援を行う者に対する支援並びに孤独・孤立の状態にある者の実態等に関する調査研究の推進について定めること。
四 地方公共団体は、孤独・孤立対策を推進するために必要な連携及び協働を図るため、当事者等に対する支援に関係する機関等により構成される孤独・孤立対策地域協議会(以下「協議会」という。)を置くよう努めること。協議会は、その目的を達成するため、必要な情報の交換及び支援の内容に関する協議を行い、その結果に基づき協議会の構成機関等が支援を行うこと。また、協議会は、その構成機関等に対し支援の対象となる当事者等に関する情報の提供等の必要な協力を求めることができることとし、協議会の事務に従事する者等は、正当な理由がなく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこと。
五 内閣府に、特別の機関として、内閣総理大臣を本部長とする孤独・孤立対策推進本部を設置すること。同本部は、孤独・孤立対策の重点計画を作成し、その実施を推進すること等をつかさどること。また、内閣府の事務に孤独・孤立対策の推進に関する事務を追加すること。
六 この法律は、令和六年四月一日から施行すること。