農薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)概要
本案は、農薬の安全性の一層の向上を図るため、農薬の規制に関する国際的動向等を踏まえ、再登録制度に代えて同一の有効成分を含む農薬について一括して定期的に安全性等の再評価を行う制度を導入するとともに、農薬の登録事項を追加する等の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 農薬の登録審査の見直し
1 農薬の登録事項として、農薬原体の有効成分以外の成分の種類、含有濃度等、使用期限、使用時の被害防止方法及び生活環境動植物への影響を追加すること。
2 農薬の登録の申請をする者は、当該申請に係る農薬の農薬原体が、現に登録を受けている農薬の農薬原体とその成分及び毒性の強さにおいて同等であるときは、提出すべき資料の一部を省略することができるものとすること。
3 農林水産大臣は、登録の申請に係る農薬が、病害虫防除等に特に必要性が高いもの又は適用病害虫の範囲及び使用方法が類似する他の農薬と比較して特に安全性が高いものと認めるときは、当該申請に係る農薬についての審査を他の農薬の審査に優先して行うように努めるものとすること。
二 再評価制度の導入等
1 農薬の登録を受けた者は、農林水産大臣が農薬の範囲を指定して再評価を受けるべき旨を公示したときは、当該指定に係る農薬について、農林水産大臣の再評価を受けなければならないものとすること。
2 再評価は、同一の有効成分を含む農薬について、農林水産大臣が初めて当該有効成分を含む農薬に係る登録をした日から起算して農林水産省令で定める期間ごとに行うものとすること。
3 農林水産大臣は、最新の科学的知見に基づく再評価又はその他の事由により、農作物等、人畜又は生活環境動植物に害を及ぼすおそれがあると認めるとき等は、当該農薬につき、その登録に係る一部の事項を変更する登録をし、又はその登録を取り消すことができるものとすること。
4 農薬の登録の有効期間を廃止すること。
三 施行期日等
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、農薬の登録事項に使用期限、使用時の被害防止方法及び生活環境動植物への影響を追加することに係る規定については、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
2 この法律の施行に伴う所要の経過措置を整備するとともに、関係法律について所要の改正を行うこと。