農業用ため池の管理及び保全に関する法律案(内閣提出第二九号)概要
本案は、農業用水の確保を図るとともに、農業用ため池の決壊による水害その他の災害から国民の生命及び財産を保護するため、防災上重要な農業用ため池を指定し、必要な防災工事の施行を命ずることができることとする等の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 農業用ため池の届出
1 農業用ため池の設置及び廃止について、所有者(既存の農業用ため池については、所有者又は管理者)に都道府県知事への届出を義務付けること。
2 都道府県知事は、農業用ため池に関するデータベースを整備し、公表するものとすること。
3 農業用ため池の所有者(管理者を含む。以下「所有者等」という。)は、当該農業用ため池の機能が十分に発揮されるよう適正な管理に努めなければならないものとすること。
4 都道府県知事は、農業用ため池の管理上必要な措置が行われていないときは、所有者等に対し、必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができるものとすること。
二 特定農業用ため池の指定
1 都道府県知事は、決壊による水害等の災害により周辺の区域に被害を及ぼすおそれがある農業用ため池を特定農業用ため池として指定することができるものとすること。
2 特定農業用ため池の保全に影響を及ぼすおそれのある土地の掘削等の行為について、都道府県知事の許可制とすること。
3 市町村長は、特定農業用ため池について、災害時の避難に関する印刷物配布等の措置を講ずるよう努めるものとすること。
三 特定農業用ため池の防災工事の施行
特定農業用ため池の防災工事(施設の廃止工事を含む。)について、所有者等に都道府県知事への工事計画の事前届出を義務付けるとともに、所有者等が必要な工事を実施しない場合や、工事内容が不適切な場合には、都道府県知事が防災工事の施行に関する命令及び代執行を行うことができるものとすること。
四 裁定による特定農業用ため池の管理
市町村長は、特定農業用ため池の管理上必要な措置が行われていない場合であって、所有者(共有の場合は持分の過半を有する者)を確知することができないときは、都道府県知事の裁定により、施設管理権を取得することができるものとすること。
五 施行期日
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。