国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)概要
本案は、効率的かつ安定的な林業経営の育成を図るため、樹木の採取に適する相当規模の森林が存在する国有林野の一定区域において、木材の需要者と連携する事業者が安定的に樹木の採取を行うことが可能となる権利を創設するとともに、森林所有者等と木材の需要者との連携により木材の安定供給を確保する取組に対する金融上の措置等を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 国有林野の管理経営に関する法律の一部改正
1 農林水産大臣は、効率的かつ安定的な林業経営の育成を図るため、国有林野の一定の区域を樹木採取区として指定した上で、当該区域において生育している樹木を、一定の期間、安定的に採取する権利として、樹木採取権を設定することができるものとすること。
2 農林水産大臣は、樹木採取区の指定をしたときは、樹木採取区の所在地及び面積、樹木採取権の存続期間、権利設定料の額等をあらかじめ公表して、樹木採取権の設定を受けることを希望する者を公募するものとすること。
3 農林水産大臣は、2の公募に応じた者のうちから、森林の経営管理を効率的かつ安定的に行う能力等を有すると認められること、木材の需要者との連携により木材の安定的な取引関係を確立することが確実と認められること等を条件とした上で、地域における産業の振興への寄与の程度等を勘案し、樹木採取権者を選定するものとすること。
4 樹木採取権者は、事業を開始する前に、農林水産大臣と、具体的な施業の計画等を内容に含む契約を五年ごとに締結しなければならないものとすること。
5 農林水産大臣は、樹木採取区内の採取跡地において国有林野事業として行う植栽の効率的な実施を図るため、当該樹木採取区に係る樹木採取権者に対し、当該植栽をその樹木の採取と一体的に行うよう申し入れるものとすること。
二 木材の安定供給の確保に関する特別措置法の一部改正
森林所有者等及び木材の需要者が、共同して木材の安定的な取引関係の確立を図る事業に関する計画を作成し、都道府県知事等の認定を受けた場合、独立行政法人農林漁業信用基金(以下「信用基金」という。)による金融上の措置(債務保証及び低利の資金融通)を講ずるものとすること。
三 独立行政法人農林漁業信用基金法の一部改正
二の措置を、信用基金の業務として追加するものとすること。
四 施行期日
この法律は、平成三十二年四月一日から施行するものとすること。