棚田地域振興法案(農林水産委員長提出、衆法第一七号)概要
本案は、貴重な国民的財産である棚田を保全し、棚田地域の有する多面にわたる機能の維持増進を図るため、棚田地域の振興について、基本理念を定めるとともに、基本方針の策定その他の棚田地域の振興に関し必要な事項を定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 基本理念
1 棚田地域の振興は、棚田地域の有する多面にわたる機能が維持され、国民が将来にわたってその恵沢を享受することができるよう、棚田等の保全を図るとともに、棚田地域における定住等並びに国内及び国外の地域との交流を促進することを旨として、行われなければならないものとすること。
2 棚田地域の振興に関する施策は、農業者、地域住民等による自主的な努力を助長すること並びに多様な主体の連携及び協力を促進することを旨として、講ぜられなければならないものとすること。
二 基本方針
政府は、棚田地域の振興に関する基本的な方針を定めなければならないものとし、内閣総理大臣は、その案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものとすること。
三 指定棚田地域振興活動計画等
主務大臣は、都道府県の申請に基づき、棚田地域であって、棚田等の保全を図るため、当該棚田地域の振興のための措置を講ずることが適当であると認められること等の要件に該当するものを指定棚田地域として指定するものとすること。指定棚田地域を管轄する市町村は、当該市町村のほか、農業者、地域住民等からなる指定棚田地域振興協議会を組織することができ、同協議会が作成した指定棚田地域振興活動計画について、主務大臣の認定を受けることができるものとすること。
四 支援等の措置
国は、認定棚田地域振興活動計画に基づく指定棚田地域振興活動を支援するため必要な財政上又は税制上の措置等を講ずるとともに、毎年度、当該年度に実施する指定棚田地域の振興に資する事業の内容を取りまとめ、公表するものとすること。
五 棚田地域振興連絡会議
政府は、関係行政機関の職員をもって構成する棚田地域振興連絡会議を設け、棚田地域の振興に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うものとすること。
六 施行期日等
この法律は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、令和七年三月三十一日限り、その効力を失うこと。