種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出、第二百一回国会閣法第三七号)概要
本案は、植物の新品種の育成者権の適切な保護及び活用を図るため、登録品種を育成者権者の意思に応じて海外流出の防止等の措置ができるようにするとともに、育成者権を活用しやすくするための措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 輸出先国又は栽培地域を指定して品種登録された登録品種についての育成者権の効力に関する特例の創設等
1 品種登録出願時に、輸出先国又は栽培地域を指定する旨及び当該指定国以外へ輸出する行為又は当該指定地域以外で収穫物を生産する行為を制限する旨が届出された登録品種については、種苗等の譲渡後も、これらの行為には育成者権の効力が及ぶこととすること。
2 譲渡する登録品種の種苗又は包装に登録品種である旨及び1の制限がある旨の表示を義務付けるとともに、譲渡の申出をする者が広告等を行う場合もこれらの表示を義務付けることとすること。
二 育成者権の効力が及ぶ範囲の例外を定める自家増殖に係る規定の廃止
農業者が登録品種等の収穫物の一部を次期収穫物の生産のために種苗として用いる自家増殖について、育成者権の効力が及ばないとする規定を削り、自家増殖は育成者権者の許諾に基づき行うこととすること。
三 品種登録簿に記載された登録品種の特性の位置付けの見直し等
1 品種登録簿に記載された登録品種の審査特性により明確に区別されない品種は、当該登録品種と特性により明確に区別されない品種と推定することとすること。
2 出願者は、審査により特定された出願品種の特性が事実と異なると思料するときは、品種登録前に、農林水産大臣に対し、当該特性の訂正を求めることができることとすること。
3 登録品種について利害関係を有する者は、ある品種が当該登録品種と品種登録簿に記載された審査特性により明確に区別されない品種であるかどうかについて、農林水産大臣の判定を求めることができることとすること。
四 品種登録審査実施方法の充実・見直し
農林水産大臣は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に、栽培試験に加え、現地調査も行わせることができることとすること。また、品種登録の審査を充実させるため、出願者は、栽培試験等に係る手数料を納付することとすること。
五 施行期日
この法律は、令和三年四月一日から施行するものとすること。ただし、一については、令和二年十二月一日、二については、令和四年四月一日から施行するものとすること。