消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)概要
本案は、社会経済情勢の変化等に対応して、消費者の利益の擁護を更に図るため、消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる範囲を拡大するとともに、取消権の行使期間を伸長する等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 消費者契約法の一部改正
1 第四条第三項第六号の規定において掲げる行為(当該行為によって消費者が困惑して意思表示をしたときは取消しが認められることとなる行為)を、「当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、当該消費者又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、その重大な不利益を回避するためには、当該消費者契約を締結することが必要不可欠である旨を告げるもの」とすること。
2 第四条第三項第六号に係る取消権については、追認をすることができる時から一年間行わないとき、また、消費者契約の締結の時から五年を経過したときは時効によって消滅するとされているところ、当該期間について、一年間を三年間に、また、五年を十年に伸長するものとすること。
3 独立行政法人国民生活センター(以下「センター」という。)及び地方公共団体は、適格消費者団体の求めに応じ、当該適格消費者団体が差止請求権を適切に行使するために必要な限度において、当該適格消費者団体に対し、消費者紛争に関する情報を提供することができるものとすること。
二 独立行政法人国民生活センター法の一部改正
1 センターの目的に消費者紛争を予防するための活動を支援すること等を追加するとともに、センターの業務として、適格消費者団体が行う差止請求関係業務の円滑な実施のために必要な援助を行うことを追加すること。
2 紛争解決委員会(以下「委員会」という。)は、適正かつ迅速な審理を実現するため、和解仲介手続及び仲裁の手続を計画的に実施しなければならないものとするとともに、当事者は、適正かつ迅速な審理を実現するため、委員会による和解仲介手続及び仲裁の手続の計画的な実施に協力するものとすること。
3 センターは、消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益を保護するため特に必要があると認めるときは、消費者紛争の当事者である事業者の名称等を公表することができるものとすること。
三 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行するものとすること。