私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律案(総務委員長提出)の概要
本案は、最近における私事性的画像記録の提供等による被害の実情に鑑み、個人の名誉及び私生活の平穏の侵害による被害の発生又はその拡大を防止するため、私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰すること等について定めようとするもので、その内容は次のとおりである。
一 この法律において「私事性的画像記録」とは、性交又は性交類似行為に係る人の姿態等が撮影された画像(撮影対象者において、第三者が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影したものを除く。)に係る電磁的記録その他の記録をいい、「私事性的画像記録物」とは、当該画像を記録した写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物をいうこと。
二 私事性的画像記録提供等
1 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処すること。
2 1の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、1と同様とすること。
3 1又は2の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処すること。
4 1から3までの罪は、告訴がなければ公訴を提起することができないこと。
三 プロバイダ等が撮影対象者(撮影対象者が死亡している場合においては、その遺族)からの削除申出に基づき画像を削除した場合に生じる情報発信者への損害に係る賠償免責の要件(情報発信者に対する削除照会に係る申出期限)を、「七日」から「二日」に短縮するプロバイダ責任制限法の特例を設けること。
四 国及び地方公共団体は、被害者が告訴等を行いやすくするために必要な体制の充実及び削除の申出先、申出方法等についての周知を図るための広報活動等の充実、一元的に被害者の相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等の措置を講ずるものとすること。
五 国及び地方公共団体は、被害の発生を未然に防止するための教育活動及び啓発活動の充実を図るものとすること。
六 この法律は、一部を除き、公布の日から施行すること。
七 政府は、この法律の施行後二年以内に、被害回復及び処罰の確保に資する国際協力の在り方等に関する検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
八 この法律の規定については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。