放送法第70条第2項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第1号)の概要
本件は、日本放送協会の平成31年度収支予算、事業計画及び資金計画について、放送法第70条第2項の規定に基づき、国会の承認を求めるものである。
なお、本件には総務大臣の意見が付されており、平成31年度収支予算等について、「国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、国際放送の充実等による海外情報発信の強化、我が国の経済成長の牽引力として期待される4K・8K等の先導的なサービスの推進、インターネットを活用した新たなサービスの創造、大規模災害等に備えた公共放送の機能の強靭化等に取り組むことにより、事業収支差金の赤字を見込んでいる。この点については、本年10月の消費税率引上げ時に受信料額を据え置き、また、4つの受信料の負担軽減策を実施することを考慮するとやむを得ない面がある」とした上で、「今後も受信料の公平負担の徹底に向けた取組を進め、増収を確保するとともに、聖域なく徹底的に経費節減に取り組むことにより、早期に事業収支差金の黒字を確保できるよう努めることを強く求める」とされている。
1 収支予算
⑴ 一般勘定の事業収支は、受信料等の事業収入が前年度に比べ79億円増加の7,247億円、国内放送費等の事業支出が前年度に比べ149億円増加の7,277億円となっており、この事業収支における不足30億円については、財政安定のための繰越金の一部をもって補塡する。
⑵ 受信料の額は、月額で、口座振替又はクレジットカード等継続払の場合、地上契約1,260円、衛星契約2,230円、継続振込等の場合、地上契約1,310円、衛星契約2,280円等、前年度どおりである。
2 事業計画
⑴ 緊急報道や番組充実のための設備及び4K・8Kスーパーハイビジョン設備を整備するとともに、大規模災害時等においても安定的な放送・サービスを継続するための設備整備等を行う。
⑵ 国内放送は、公共放送の基本を堅持し、その使命を果たすために、正確な情報を公平・公正に伝え、命と暮らしを守る報道に全力で取り組むとともに、東日本大震災をはじめとする全国の被災地の復興を支援する。幅広い世代の期待にこたえる多彩で質の高い番組を編成するとともに、国内外の課題や最新情報を早く、深く、わかりやすく伝え、判断のよりどころとなる情報の社会的基盤の役割を果たす。地域で暮らす人の視点から、役立つ情報、関心の高いテーマ、固有の課題などを積極的に取り上げ、地域放送を通じて地域社会に貢献する。
また、教育放送及び障害者や高齢者に向けた放送の充実を図るとともに、翌年度に迫った東京オリンピック・パラリンピックに向けた番組を放送し、あわせて放送の実施に向けた準備を取り進める。
放送2年目を迎えるBS4Kは2Kとの一体制作を加速させ、多彩なジャンルの番組を編成する。BS8Kは、臨場感にあふれた大型中継や番組を編成するなど、世界最高水準の視聴体験と新たな可能性を追求していく。
⑶ 国際放送は、自主自律の編集権を堅持し、外国人向け放送及び邦人向け放送として、正確で客観的なニュースや幅広い分野の番組を多様な媒体を通じて発信するなど、海外発信強化に取り組み、国際社会の日本に対する理解を促進する。
⑷ 受信料の公平負担の徹底に向けて、契約収納活動を強化するとともに、受信料制度の理解促進を図り、支払率の向上及び受信料収入の確保に努める。あわせて、効率的かつ効果的な業務運営を行う。
なお、受信料の負担軽減策として、2019年4月から多数支払いにおける割引(多数一括割引と事業所割引又は家族割引との併用等)及び2019年10月から設置月の無料化を実施する。
さらに、2019年10月からの消費税率引き上げに際して、受信料額の改定を行わないこととする。
⑸ 調査研究については、新たな放送・サービスの創造に資する放送技術の研究開発を行うとともに、放送番組・サービスの向上に寄与する調査研究の推進により、その成果を放送に生かし、また、広く一般に公開して、放送文化の発展に資する。
⑹ 放送番組等を電気通信回線を通じて配信する業務に必要な設備を運営する会社に対し、出資を行う。
放送番組等を電気通信回線を通じて、有料で一般の利用に直接供する業務等については、コンテンツの充実や利便性の向上を図る。
⑺ 会館施設等の一般供用、賃貸及び放送番組の受託制作等については、協会業務の円滑な遂行に支障のない範囲内において実施する
⑻ NHKグループ一体で、より創造的で効果的な体制の確立に向けて、働き方改革や透明性の高い組織運営、リスクマネジメントの強化等を推進する。
3 資金計画
平成31年度の資金計画は、受信料等による入金総額8,524億円、事業経費、建設経費等による出金総額8,514億円をもって施行する。