放送法第70条第2項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第1号)の概要
本件は、日本放送協会の令和6年度収支予算、事業計画及び資金計画について、放送法第70条第2項の規定に基づき、国会の承認を求めるものである。
なお、本件には総務大臣の意見が付されており、令和6年度収支予算等については、「令和5年10月に値下げされた現行の受信料額を維持しつつ、事業収支差金570億円の赤字等に対して還元目的積立金も活用し、視聴者への還元を行う点は評価できる。」とした上で、「
1 収支予算
(1) 一般勘定の事業収支は、受信料等の事業収入が前年度に比べ418億円減少の6,021億円、国内放送費等の事業支出が前年度に比べ128億円減少の6,591億円となっており、事業収支における不足570億円については、還元目的積立金の一部をもって補てんする。
(2) 受信料の額は、月額で、地上契約1,100円、衛星契約1,950円等となっている。
2 事業計画
(1) 放送センターの建替えを進めるとともに、緊急報道や番組の充実、番組配信のための設備や大規模災害時等においても安定的な放送・サービスを継続するための設備及び地域放送会館の整備等を行う。
(2) 国内放送は、公共放送の基本を堅持し、その使命を果たすために、正確な情報を公平・公正に伝え、命と暮らしを守る放送・サービスに全力で取り組み、安全で安心な暮らしに貢献する。幅広い世代の期待にこたえる多彩で質の高い番組を編成するとともに、国内外の課題や最新事情を早く、深く、わかりやすく伝え、社会の基本情報の提供や民主主義の基盤となる多様な価値観への相互理解の促進といった、公共メディアの役割を果たす。地域で暮らす人の視点から、役立つ情報、関心の高いテーマ、課題等を積極的に取り上げ、地域の今を視聴者に伝えていく。
また、教育放送及び障害者や高齢者に向けた放送の充実を図る。
(3) 国際放送は、自主自律の編集権を堅持し、外国人向け放送及び邦人向け放送として、正確で公平・公正な情報や幅広い分野の番組を多様な媒体を通じて発信するなど、海外発信強化に取り組むとともに、効率的な番組制作に努め、国際社会の日本に対する理解を促進する。
(4) 国内放送番組等配信は、放送を補完してその効果・効用を高め、国民共有の財産である放送番組等を広く国民に還元するなど、放送法第15条に掲げられた目的を達成するために実施する。環境の変化や技術の進歩発達に適宜対応しながら、情報空間の参照点を提供する役割を果たしていくために、放送番組及び番組の理解増進情報の提供等を行う。
(5) 国際放送番組等配信は、情報を効率的・効果的に届けることができるインターネットの特性を生かし、全世界へ向けて放送番組等を提供するとともに、多言語化を進め、世界の人々に向けて質の高いサービスを届ける。
(6) 受信料の公平負担の徹底と営業経費の抑制のため、時代に即した新たな営業アプローチを推進し、効率的な契約・収納活動に取り組むとともに、受信料収入の確保に努める。
(7) 調査研究については、新たな放送・サービスの創造に資する放送技術の研究開発を行うとともに、放送番組・サービスの向上に寄与する調査研究の推進により、その成果を放送に生かし、また、広く一般に公開して、放送文化の発展に資する。
(8) 情報空間の多元性確保の基幹となる二元体制維持に向けて、放送ネットワーク効率化のための出資を行う。
(9) 放送番組等を電気通信回線を通じて、有料で一般の利用に直接供する業務等については、コンテンツの充実や利便性の向上等を図る。
(10) 会館施設等の一般供用、賃貸及び放送番組の受託制作等については、協会業務の円滑な遂行に支障のない範囲内において実施する。
(11) 視聴者・国民から信頼される協会の組織運営に向け、信頼をつくり出す現場マネジメント及び説明可能・アカウンタブルな経営マネジメントを進める。
3 資金計画
令和6年度の資金計画は、受信料等による入金総額8,308億円、事業経費、建設経費等による出金総額8,404億円をもって施行する。