豪雪地帯対策の充実強化に関する件
政府は、豪雪地帯が人口の減少、高齢化の進展その他の社会経済情勢の変化に加えて気候変動による降雪の態様の変化等により困難な状況に直面していることに鑑み、豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期するべきである。
一 除排雪を円滑に実施して豪雪地帯の住民が安全に安心して暮らすことのできる地域社会の実現を図るため、地域における除排雪に係る体制の整備に当たっては、除雪機械の更新に配慮するとともに、除排雪に係る人材や事業者の確保、育成及び資質の向上が促進されるよう配慮すること。
二 大雪、少雪の年によるギャップが大きくなっており、除排雪に必要な準備・執行ができるよう、国は十分な予算措置をすること。
三 豪雪地帯の高齢者、障害者等が、その居住する住宅の除排雪について必要な支援を受けることができるよう配慮するとともに、日常生活において使用する道路、旅客施設、官公庁施設、学校・保育園や医療・福祉施設等を積雪時においても円滑に利用することができるよう配慮すること。
四 雪冷熱エネルギーの活用は、エネルギーの地産地消の推進及び脱炭素社会の実現を図る上で重要な役割を有していることに鑑み、その一層の促進に努めること。
五 総合的な雪情報システムについては、近年における降雪の態様の変化、情報通信技術の発達・普及等を踏まえ、降雪量に関する予測技術の向上など、その改善に努めるとともに、情報が効果的に発信され、年齢、障害の有無等にかかわらず全ての住民等に的確に伝達されるように運用すること。
六 積雪期における複合災害への対応については、地震、津波等の自然災害に限らず、原子力災害への対応も含め、地域の特性に配慮した施策を策定し、確実に実施すること。
七 地域における除排雪の安全確保等のための交付金その他の措置については、豪雪地帯安全確保緊急対策交付金等により、地域コミュニティによる持続可能な除排雪体制の確保、高齢者等要援護者世帯の住宅の除雪など、地域の実情に応じた対応ができるようにするとともに、十分な予算を安定的に確保すること。
八 近年における電気自動車等の次世代自動車の普及を踏まえ、大雪により車両の滞留が発生した場合における滞留車両への燃料供給、充電対応等の体制の整備に努めること。
九 克雪用水の確保のため、河川からの必要かつ十分な量の取水が円滑に行われるよう配慮するとともに、非灌漑期における農業用水の消雪への活用を図ること。
十 除雪効果を増大させるため、流雪溝の整備を促進すること。
十一 豪雪地帯対策の推進に当たっては、地方公共団体や地域住民の意見を聴取すること等により、地域の特性が施策に十分に反映されるよう努めること。
右決議する。