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   持続可能な地方税財政基盤の確立並びに新型コロナウイルス感染症及び東日本大震災等への対応に関する件

 

 厳しい地方財政の現状を踏まえ、地方公共団体が住民生活に必要な行政サービスを持続的かつ安定的に提供していくためには、持続可能な地方税財政基盤の確立が不可欠であることに鑑み、政府は、次の諸点について措置すべきである。

 

一 交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額については、前年度の地方財政計画の水準を下回らないよう、予見可能性を持って安定的に確保するとともに、社会保障関係費その他の拡大する行政需要に合わせて充実させるよう最大限努力すること。

 

二 地方公共団体が、人口減少の克服、地域経済の活性化、地域社会の維持・再生、地域社会のデジタル化等の重要課題に取り組んでいくためには、地域のそれぞれの実情に応じた諸施策を中長期にわたって実施していく必要があることに鑑み、その実施に必要な歳出を継続的かつ安定的に地方財政計画に計上すること。

 

三 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ必要な総額の充実確保を図るとともに、法定率の引上げを含めた抜本的な見直しを検討し、臨時財政対策債等の特例措置に依存しない持続的な制度の確立を目指すこと。また、基準財政需要額の算定に当たっては、社会保障関係費の自然増、保健所における感染症対策等のための人員配置に係る経費を適切に反映するとともに、条件不利地域等、地域の実情に十分配慮すること。

 

四 地方交付税の原資となる税収の見積りに当たっては、特に減額による混乱を回避するため、正確を期すよう、万全の努力を払うこと。また、年度途中に税収の見込額が減額される場合には、地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう、国の責任において十分な補塡措置を講ずること。

 

五 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、安定的で充実した財源の確保を可能とする地方税制の構築を図ること。また、税負担軽減措置等の創設や拡充など減収が生ずる地方税制の見直しを行う場合には、真に地域経済や住民生活に寄与するものに限られるよう、慎重に対処するとともに、代替の税源の確保等の措置を講ずること。とりわけ固定資産税は、市町村の基幹税目であることを踏まえ、納税者の税負担にも配慮しつつ安定的税収の確保に努めること。

 

六 ふるさと納税制度に関しては、応益原則に配慮し、制度の趣旨に沿った適切な運用に向けた取組を進めること。

 

七 森林環境税及び森林環境譲与税については、地方団体が実施する森林の整備及びその促進に関する施策の取組状況や地方団体の意見を踏まえつつ、一層効果的に活用されるよう、各地方団体への支援を行うとともに、森林吸収源対策を一層推進することが重要となっている状況に鑑み、必要がある場合には、森林環境譲与税の使途や譲与基準を始め、所要の見直しを行うこと。

 

八 地方債については、財政力の弱い市町村が円滑に資金を調達できるよう、地方公共団体金融機構の機動的な活用を含め、公的資金の確保と適切な配分に最大限の配慮を行うこと。また、民間等資金について、引き続き資金調達手段の多様化に取り組むこと。

 

九 臨時財政対策債を始め、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生ずることのないよう、万全の財源措置を講ずること。

 

十 今後とも、臨時財政対策債の発行抑制や交付税特別会計借入金の着実な償還に努め、地方財政の健全化を進めること。

 

十一 新型コロナウイルス感染症対策に関しては、感染症法上の位置付けの変更にかかわらず、引き続き国の責任において迅速かつ十分な財政支援を行うこと。

 

十二 地域医療構想及び公立病院経営強化の推進に当たっては、公立病院の病床削減・統廃合を前提とせず、地域の実情に即した地方公共団体の主体的な取組を十分に尊重するとともに、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、必要な財政措置を講ずること。

 

十三 光熱費高騰を始めとする物価高騰に伴う地方公共団体の行政経費の増加については、各団体の財政運営に与える影響の把握に努め、必要がある場合には、迅速に追加的な財政措置を講ずること。

 

十四 マイナンバーカードの普及促進に当たっては、交付率によって、地方交付税が減額されるなどの不利益が生じることのないようにすること。また、マイナンバーカードの取得が任意であることを踏まえ、カードを取得していない方についても、必要な行政サービスが受けられないことのないようにすること。

 

十五 東日本大震災からの復旧・復興事業が着実に実施できるよう、復旧・復興事業が完了するまでの間、震災復興特別交付税を始め、必要な財源を確実に確保するなど、万全の支援措置を講ずること。

 

十六 近年、集中豪雨、台風、地震、豪雪などの自然災害が頻発化・激甚化し、全国各地で住民生活の安全・安心を脅かす甚大な被害が発生していることを踏まえ、地方公共団体において、更なる防災・減災対策の推進や、被災地の迅速な復旧・復興に取り組むことができるよう、十分な人的・財政的支援を行うこと。

 

右決議する。

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