米国の「北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除」の動きに反対する決議
北朝鮮は、わが国の国民をはじめとする複数の国から無辜の民を拉致し抑留し続けている。
拉致は、国家主権及び国民の生命と安全に係わる重大な問題であり、わが国は、全ての被害者の安全確保及び即時帰国、真相究明並びに拉致実行犯の引き渡しを強く要求している。
一方、北朝鮮は二〇〇二年、長年否定していた日本人の拉致をはじめて認め、その後五人の被害者が帰国を果たしたが、残る多くの被害者に関しては誠意ある説明をせず「拉致問題は解決済み」を主張するばかりである。
米国は、一九八八年に北朝鮮をテロ支援国家として指定し、二〇〇四年にはその指定理由の一つとして新たに国務省国際テロ報告書に外国人拉致問題を書き込んだ。
それは、拉致解決を北朝鮮に迫る強い圧力となり、わが国国民を勇気づけ、拉致問題に毅然たる態度で臨むわが国外交を後押しするものとなっているが、米国は一部の核施設の「無能力化」などの見返りとして指定解除を行うのではないかと伝えられている。
拉致はテロであり、拉致被害者が抑留され続けている以上、テロは今も続いている。本年四月の国務省国際テロ報告書も引き続き拉致問題を明記した。
抑留されている被害者が帰ってきていないのに指定解除がなされることは、多くの日本国民を落胆させ、日米同盟に重大な影響を及ぼすことを懸念するものである。
米国内でも安易なテロ支援国家指定解除への危惧が高まり、下院で拉致被害者の帰国などを条件とする法案がすでに提出されており、上院でも同様の動きが出ているところである。
拉致被害者全員を一刻も早く救出するために、特に、日米関係の重大さに鑑み、日本政府は米国が「北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除」をしないよう、最大限の外交努力を尽くすべきである。
また、米国におかれても、かかる観点から「北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除」をしない方針を堅持されるべきである。
右決議する。