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昭和二十五年二月七日提出
質問第三三号

 引揚邦人の在外財産補償に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十五年二月七日

提出者  (注)田榮之助

          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿




引揚邦人の在外財産補償に関する質問主意書


 敗戰により邦人の外地財産は、ことごとく喪失するの結果を見るに至つた。殊に外地居住者は、その永住の地を失うとともに、二代、三代に築きあげた一切の財産を一朝にして失うこととなり、丸裸となつて本土に移転を命ぜられたのである。
 ポツダム宣言には、基本的人権の尊重を宣明され、憲法第二十九條第三項には、私有財産はこれを公共のために用いる際においても正当な補償をされることになつている。よつて国家は、当然にこれが補償をする義務を有するものと信ずる。しかるに政府は、引揚邦人数百万人に対し四年有余もこれを放置して顧みない。これは明かにポツダム宣言の趣旨並びに憲法第二十九條第三項に背反しているものと言わなければならない。
 彼此考えるとき、これ等在外財産の補償は、これを国内問題として解決すべきものであることは自明の理である。かかる事由にかんがみ、次の諸点を質したい。

一 (1) 在外引揚邦人は当時の国策に基き、国家経済力の発展のために、異境に赴き、時には生命の危險にさえ逢いながら、営々として成した汗と脂の結晶たる財産を沒收された。かかることは、平和国家建設のため、武力戰を放棄したわが国として、戰争の犠牲を公平にすべき観点に立つとき、内地在住の戰災者に、同胞の種々なるひ護のあつた点に比較するといちじるしく不公平である。ましてや非戰災国民との比較においては、政府はこの処置をいかにするか。又今までいかなる処置をどの程度とつたか。在外財産の調査の状況、その額等如何。
  (2) 在外財産の物価指数による時価換算によつて、少くともその半額以上は補償をしなければ、他の非戰災国民との公平は保たれないと思うが、いかに考えるか。
  (3) 政府は、国家財政の立場から、その財政の余裕なしとするならば、年賦補償等の計画を立てることを適当と思うがその意思があるかどうか。
  (4) 引揚の際、領事館等の在外公館において、借用証書を交付して借り上げた金額があるが、その債務の弁済はいかになつているか。
  (5) 在外引揚邦人の生活の困窮の実情を調査したことがあるか、あればその概要を示されたい。
二 在外財産中の喪失せしめられたる部分に対しては、国家が補償する義務あることを宣明する意思はないか。
三 政府は速やかに在外財産補償のための調査並びにこれが審査のための強力なる機関を設置する考えはないか。

 右質問する。





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