昭和二十五年三月八日提出
質問第七八号
肥料配給公団存続に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和二十五年三月八日
提出者 小※(注) 忠
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
肥料配給公団存続に関する質問主意書
政府は、化学肥料の需給緩和にかんがみ、漸進的に肥料配給公団を廃止せんとする方針の如くであるが、左の点に関し明確な答弁を求める。
1 わが国の農業生産に必要な肥料の技術的所要量は幾ばくか。
2 昭和二十五肥料年度における肥料の有効需要量は幾ばくと規定するか。
3 肥料の有効需要量の喚起について政府はいかなる方策をとらんとするものであるか。
4 国内生産肥料の生産見透し如何。
5 輸入肥料の見透し如何。
(イ)硝安、硫安
(ロ)燐鉱石
(ハ)加里
6 肥料の海外輸出に関する政府の見解如何。
二 肥料価格の値上りについて
1 肥料価格差補給金の廃止の時期及び廃止に伴い、各肥料の生産者価格の位置はいかなるところに想定するか。 2 硫安生産者価格の一本化の時期及び一本化に伴い脱落を予想される数量如何。
3 低米価政策の下に農民の経済は急速に窮迫化しつつある一方、肥料産業はぼう大な利潤が保証されている。補給金廃止による肥料価格の値上りは当然肥料の生産段階において吸收し、消費者価格の値上りは抑制すべきものであると思うが、政府はそのうち何割を生産段階において吸收し、消費者価格の値上りをどの程度に抑える方針か。
4 消費者価格の値上りをやむを得ずとした場合、農産物価との関係如何、特に米価との関係如何。
5 化学肥料の消費者価格が本年一月一日二〇%、三月一日三五%、八月一日七〇%にそれぞれ値上りするとして、来年三月までに計画通り配給されるとすれば、それによる農家の支出増は二三七億円程度に達すると考えられる。これは農家にとつて耐え難い負担となり、当然有効需要量は減退し、従つて食糧生産の減退となり、わが国経済再健の基盤がくつがえされることになると思うが、これに対する政府の対策如何。
三 肥料配給公団廃止の時期について
1 県段階と中央段階廃止に時期的ずれをおくのは何故か、何故一緒に廃止しないのか。
2 本年七月に県段階を廃止し、それに近い期間に公団を廃止する方針であるにかかわらず、何故来年三月までの延期法案を提出するのか、実際に即した八月あるいは九月まで延期することにしては如何。
3 県段階を廃止し中央段階存続の期間中における配給機構如何。
4 公団廃止の際のストツクはいかにするや。
四 肥料割当制度について
1 作物別、反別割当は本年春肥より若干緩和されたが、肥料の値上りと農家経済の窮迫から割当肥料辞退がぼつぼつ現われている現況にかんがみ、今後の割当は更に彈力性を持たせる要はないか。
2 政府は、本年春肥については一月から二〇パーセント、三月から三五パーセントの消費者価格の値上りを行うことによつて、不需要期の肥料を否応なしに農家に引き取らしめたが、今後不需要期の肥料配給については、配給業者に融資する等の方法により農家に引取りを強要することを抑制すべきであると思うが、政府の見解如何。
五 公団廃止後の肥料の金融対策について
公団廃止後、配給段階にあつては不需要期のストツク資金を考慮すれば最高二〇〇億程度の資金を必要とするが、これに対し、政府はいかなる融資の方途を考慮しているか。
六 肥料審議会の設置について
食料の生産と密接不可分な肥料政策は農業政策の根幹をなすものである。この際肥料審議会を設置し、肥料政策全般に関する重要問題の調査、審議及び企画を行う必要があると思うが所見如何。
右質問する。