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昭和二十五年三月九日提出質問第八二号
農地委員会書記の身分に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和二十五年三月九日
提出者 土橋一吉
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
農地委員会書記の身分に関する質問主意書
農地改革事業は、国家事業として今日まで遂行されてきたが、政府は、これら農地改革事業の中核となつて三年有余働いてきた全国の農地委員会書記(一委員会二名、全国二万三千名)を機構変革の名目で二名中の一名を、即ち全国一万二千名を本年三月末をもつてかく首しようとしている。
しかるに農地委員会書記の身分は、明かに国家公務員であるにもかかわらず、政府は故意にその身分を明確にせず、これらを極度に不安な状態におとしいれている。
これは国家公務員に保障された身分上の権利をはく奪して日雇労務者の如く扱い、首切り辞令すら與えずして街頭に放り出そうとしる陰謀であると断ぜざるを得ない。よつて政府は、農地委員会書記の身分に関する左の諸問に対し、その法的根拠を明確に挙げて答弁せられたい。
二 前項に基き、農地委員会は地方公共団体とは独立した処分権をもつている。これは明かに地方公共団体でなく、国家機関であることを立証するものであるが、これについての見解如何。
三 今日まで農地改革予算は、全額国庫負担によつて賄われてきており、大蔵省主計局の昭和二十五年度国家予算説明書(改訂版)一五頁一三項にも農地改革費として予算が計上され、書記の給料も明確に記載されている。これによれば、政府は農地委員会書記の給與べースを決定し、且つ流用を禁じた人件費として国家がこれを支弁しているのである。これは昭和二十三年度予算において五、三八六円書記給料を昭和二十四年度予算においては五、〇〇〇円に切り下げているのをもつてしても、地方公共団体には関與させずに国家が決定している証拠である。
従つて右の事実は、政府が農地委員会書記を国家公務員として扱つているものであると解釈するが、これについての見解如何。
四 昭和二十三年七月二十日農地委員会職員労働組合全国連合会は農林大臣との間に正式なる労働協定書を交わしている。この労働協定書によれば、農林大臣は労働組合と協議会を持ち、労働條件につき協議することを明記している。これは農地委員会書記が国家公務員であり、政府職員団体として農林大臣と協定を結んだものであるが、これにつき政府の見解如何。
五 以上によつて農地委員会書記は、地方自治法による地方公共団体の吏員ではない。これはすでに地方自治庁において明らかにしている。しかるに人事院は農林次官に対し「農地委員会書記は国家公務員ではない」ことを伝え、その身分については明らかにしていない。これは全く不当なる措置であり、地方及び国家のいずれの公務員でもないとする政府部内の意見は奇怪であるが、これについての見解如何。
右質問する。