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昭和二十五年四月二十日提出
質問第一三〇号

 一般旅客自動車運送事業に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十五年四月二十日

提出者  石野久男

          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿




一般旅客自動車運送事業に関する質問主意書


 国会は昭和二十二年十二月道路運送に関する秩序の確立及び事業の健全なる発達並びに車両の整備及び使用の適正化を図り、もつて道路運送における公共の福祉を確保するために道路運送法を制定し、ここに二箇年有余の実施期間を経過した。
 しかるに政府は、その間その実施に当り本法の主旨を逸脱し、みだりに細則をもうけ、又はその運用の面において過度に戰時中の統合企業体を温存せしむる目的をもつて、実質的に善良なる個人企業及び中小企業体の経営業者群の進出を阻止し来つたと考えるが、次の諸点について回答されたい。

 一 一般貸切旅客自動車運送事業(七人乘り以下)の各経営免許に際し、道路運送法第十二條第二項の各号に該当しない免許有資格者の免許申請なるにもかかわらず、個人及び企業組合法による法人等に対しては全然申請書の受付を拒否し、又は株式方式の経営を勧告する公務員もありと聞くが、個人及び企業組合による当該事業は不適当なりと思考するや、万一不適当なりと思考する場合においては、その理由如何。
   ちなみに現在の免許業者は戰時統合業者を始め新規免許者の九九%以上は株式会社にして、一%弱は有限会社による経営形体である点は右の事実を立証するものである。
 二 不合理な戰時強制企業合同に際し、運送事業経営免許権を企業合同体に讓渡せる個人が個人の名において当該事業の免許を申請する場合において商法第二十五條の規定を適用して不免許の措置を採るか。
   もし、同條の規定が適用されると思考せられるにおいては、それは戰時企業合同体の温存を企図する政府の方針なりと解釈してよいか。
 三 現在関東道路運送審議会においては、一般貸切旅客自動車運送事業(七人乘以下)の経営免許に際し、申請企業者の保有車両台数が十両以下の申請者に対しては、小企業者の進出を阻止する目的をもつて不免許とする暗默の免許基準を鉄則とする方針なるやに聞くが如何。
   右の如き明確なる暗默の基準が実存するとせば、道路運送法第十二條に基き発せられたる昭和二十三年六月五日、運輸省告示第百六十四号自動車運送事業免許基準の各号において明示し、一般に公示するの要なきや。
   ちなみに現在にいたる新規免許は当該申請者の事業計画における保有車両数が十台以下の場合においては許可となりし前例なし。
 四 前号の事業免許申請に際し、東京陸運局においては、昭和二十三年五月七日総理庁運輸省令第二号道路運送法施行規則第十一條の規定を拡大解釈し、單に事業計画として自動車の車両数及び車名、型式、年式、燃料の種類、旅客定員等を記載するに止まらず、免許以前において車両の入手経路の確実性を立証せしむると称して、申請企業者と第三者の間に形式的な車両讓渡契約書を添付せしめ、実際には車両の実存を要求し、且つ、法人の申請に対しては株式会社の本質を無視し拂込の限度においてのみ責任を有するにもかかわらず発起人の個人財産を調査するため、発起人個人の資産調書を作成せしむるのみならず預金証明書を添付提出せしめ、しかも免許下附にいたる期間は免許申請後、早くも、三箇月長きは十箇月に及び公務員の中には半箇年を要するは当然なりと公言する者もありと聞く。
   これがため、公正誠実なる申請人は法人の登記以前に発起人に対し拂込みを完了せしめ讓渡承諾書に拘束されたる契約相手方に対し、金銭の支拂をなし、実際的には車両を購入整備しあるため、免許下附にいたる長期にわたつて車両を死蔵し、経済的苦境に追い込まれたる申請人は闇タク行為をなし、急場を凌ぐ等の苦肉の策に及ぶか、又は政府の過度な保護政策を受けたる既免許業者の増車申請は極めて短期間に許可となるため、この増車の枠の中に加入せしめることによつて、そのあい路を打開せんとするにいたる。しかも既免許業者中には加入に際し高額なる権利金を要求する業者も多々有りと確聞するが、政府は、このような事務能力の怠慢による申請人の犠牲と不正の公然たる事実の横行を認識しあるや。
 五 右の事務能力の低下による長期審査期間の弊害により発生せしめられたる申請人の経済的損失及び既免許業者による高額なる株主加入権利金及び名儀貸料の徴收等の事実が多数の営業者によつて公々然と実行せられつつある事実を実際的に立証するときは、政府はこれ等業者に対しては道路運送法第五十七條及び第十八條の規定を行使し、又はこれら業者の監督の地位にある公務員に対しては、その職務につき、怠慢の責任を負わしむる用意ありや如何。
 六 前各号の如き免許審査期間の長期により生ずるばく大なる申請企業者の経済的損失の負担及び既免許業者による名儀貸料、株主加入権利料等の徴收の横行は一般善良なる申請企業者群をして政府に対するえんさの声を高からしめ道路運送法の真意を曲解せしめるにいたる、これは政府の失政といわざるを得ない、政府はよろしくこららの諸弊害にかんがみ、
  イ、勤労により営々勤險貯蓄の結果、従業員より一両の車両主となりたる経営能力旺盛にして交通事故防止の注意心に富み、愛車心高き、これら個人の小企業者に対し、等しく免許を與えること。
  ロ、資力、信用を最大限に必要とする銀行事業が中小商工業等協同組合法において多数の協同によるときは、信用協同組合の結成により同業の遂行を認められあると同様に、運送事業経営免許においても事故発生、その他経済行為に対し、ひとしく共同連帶の責任を有するはもちろん法人の名において事業を営む企業組合法による同業の経営を株式経営形式と同位に免許すること。
  ハ、免許段階において比較的軽位にある陸運局長権限に属する地域事業なかんずくタクシー事業は他の運送事業に比し、政府が積極的に免許制度を維持して諸弊害の発生をもかえりみず、過度に当該事業の経済的負担を保護する論拠が極めて薄弱である。
    従つて、当該事業の免許制度を廃止し、若しくは公聽会の開催を止め審議会の答申制度を廃止し、局長権限によつてこれを処理し免許申請解答期間を一箇月以内とすること。

 右質問する。





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