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昭和二十五年十一月二十九日提出
質問第一〇〇号

 大橋法務総裁の醜聞に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十五年十一月二十九日

提出者  (注)田甚太(注)

          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿




大橋法務総裁の醜聞に関する質問主意書


 昭和二十一年十二月頃に、特調契約局長に伊(注)という男がおつたか。前記伊(注)が足利板金工業組合総務部長高橋政雄に二重煙突(ガス排気筒)二五万フイート、時価四、〇〇〇万円を発注したことがあるか。
 これは金が拂われておるにかかわらず、品物は納まつていない部分が多い。右事実を会計検査院が調査しているようだが、調査した事実はあるか。
 右の事件は世に二重煙突事件といわれているが、そのことに関し現法務総裁大橋君に好ましくないうわさが飛んでいる。その一例を示せば、大橋法務総裁が建設院次長をやめ法務総裁になる前、大橋君の仲介により、足利工業に特調の請負をさせ、前渡金四、〇〇〇万円を渡した。足利工業は二、〇〇〇万円分の仕事をした後、残りの半分は物資納入を放てき解散し、この金を着服分配した。大橋君と足利工業との間にたつたのは、国警予備隊経理局長の候補にとりざたされた石破次(注)であつた。(石破はこの事件のために経理局長になれなかつたとうわさをされている。)二、〇〇〇万円の過拂いについては、大橋君の復興院次長時代の腹心の部下であつた(注)田広吉が特調の計理第二課長にいたのを利用してインチキな伝票をきらせたというのが真相らしい。元来、特調は前渡金を渡すことができないことになつているはずだが、若し渡しておれば明らかに違法行為である。この事件は現在検察庁とともに会計検査院の不正支出調査に移されている。大橋君はもみ消しに必死になつているが、会計検査院に移された。この事件だけはもみ消しが困難な模様だとこう間もつぱらのうわさだが、検察庁、会計検査院等は右のような調査をしているのか。しているとすれば検察庁はどこの検察庁であり、係検事はだれで、会計検査院でもだれが扱つているのか。そしてこれらの調査の進行はどの程度か。
 又大橋君は前安本会計課長鎌田庄太(注)の紹介で足利板金工業の高橋政雄(元通産省官吏)と結び、同統制組合の顧問になつていたといわれているが、その事実はあるか。

 右質問する。





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