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昭和二十七年十一月二十一日提出質問第九号
失業対策事業に従事せる自由労働者に対する本年年末給付に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和二十七年十一月二十一日
衆議院議長 大野※(注)睦 殿
失業対策事業に従事せる自由労働者に対する本年年末給付に関する質問主意書
首題に関しては従来政府はこれに対し何らの越年給付を行つていないのである。
そもそもこれら自由労働者はその前歴の示すごとく、かつての軍工廠、軍需工場閉鎖に伴う失業者その他引揚者、失業軍人等によつて構成されているのであるが、日本の民間経済力は未だこれを正常企業に吸収し得ないため、やむを得ず、これらの者は、失業対策労働者として国の失業対策事業に従事するの余儀なきにあるのがその実状である。
しかして、これら失業労働者は、緊急失業対策法施行来、長期、半長期にわたつて失業対策事業に専従し、もつぱらその賃金によつて一家の生計をまかなつているのである。
今日、官公労をはじめ、民間労働者は、いずれも越冬のための給与を受けるのであるが、ここに越冬給与を最も必要とする階層の中にこの失業労働者のあることを政府は特に重視いたされたい。
ついては、この種の要求は、毎年の年末期において当該労働者団体より、地方自治体並びに政府に対し強力に要請されたところであるが、遺憾ながら本日までその措置を見るに至らなかつたものである。このため地方現地においては絶望者達は時に破壊的陳情行動に出て自治体政庁はこれの応酬と取締に多大の精力と経費を消失しているのである。
これに対する政府従来の見解は失業対策労働者は日雇であるから実働賃金以外の給与は支払い得ないというのである。
しかして、これに対しよする失業対策労働者の要請は、形式は日雇であつても、実質は長期、半長期にわたる困難なる社会情勢を訴え、特に社会保障的理解を求めて厳冬生活からの救済を歎願しているのである。
おもうに緊急失業対策法の指向する精神は、憲法の生活保障の条章に由来し、且つ、軍国主義の犠牲者達に国家的責任の一端を負わんとするの意図に出たものであつて、それは日雇賃金の形式論に藉口してその厳冬の窮乏を冷酷に無視することを支持するものではないであろう。
右質問する。