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昭和二十九年一月二十九日提出
質問第五号

 太平洋戦争参加者に対する国家表彰に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十九年一月二十九日

提出者  八木一(注)

          衆議院議長 堤 康次(注) 殿




太平洋戦争参加者に対する国家表彰に関する質問主意書


 わが国の栄典制度は、金鵄勲章を廃止せるほか、従前の規定による実施を建前としている。しかるに、政府は、占領政策により課せられた不合理な運営をそのまま踏襲し、同様占領政策により停止せられていた旧軍人恩給はすでに復活を見るに至つた。独立三年後の今日においても、その取扱についてなんら是正措置のないのは不可解といわねばならない。
 なかんずく、太平洋戦争戦没者は、百数十万と算せられるにかかわらず、わずかに二十数万という一部分の者が表彰の特典にあずかり、戦争末期における戦没者の大部分、特にか烈な戦域並びに辺がいの地に没せる者は全くらち外におかれ、依然として、不公平な措置のままに放置されていることは、国家自主権の確立に対するゆえなき怠慢というべく、且つ又、国民感情からいつて、到底納得しがたいものがあり、はなはだ遺憾である。このことは、これ以上、事務上困難のゆえをもつて遷延を許すべき事柄でなく、独立日本としての立場において、すみやかに適切妥当な措置をとり、太平洋戦争犠牲者に対する処遇に二途なからしめ、もつて民心によるところあらしむるは、まさに、政府の責任でなければならない。
 ここに、左の点を質し、政府の所信と、実情を明らかにすることを求めたい。

一 今日政府は、何故に栄典授与に対する適正措置を講ずることをちゆうちよしているか、その理由。
二 太平洋戦争に関しすでに授与せる栄典の種類、数、並びにその理由。
三 有資格にして未授与の者に対する措置並びにそれらの遺家族に対する今後の措置方針。
四 本件に対する政府の所見。

 右質問する。





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