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昭和三十年三月二十九日提出
質問第二号

 恩給法に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十年三月二十九日

提出者  (注)山利秋

          衆議院議長 (注)谷秀次 殿




恩給法に関する質問主意書


 旧軍人又は旧準軍人の死亡後、扶助料をうける権利又は資格を失うべき事由等については、恩給法によつて規定されているところであるが、恩給局においては、旧軍人又は旧準軍人が戦死後、請求権者が、旧軍人軍属の本籍から離れたときは扶助料を受ける権利を失つたものとして恩給法附則第二十八条の規定により一率に扶助料の請求を棄却している模様である。
 たとえば、その請求権者がその戦死を知らず、また恩給法上、請求権を失うことを知らずに本籍から転籍したときは、戦死した旧軍人、旧準軍人は本籍の面において遺族がいないこととなり、事実の遺族でありながら転籍した遺族はその請求権を失つている有様である。
 しかりとせば、このことは戦争中又は戦後に困乱した状況においては、まことに実情にそわない行政措置といわなければならない。
 なぜなら空襲による疎開ないしは火災被爆等により、転々として住居は移動し、一家はやむをえず離散し、これに伴い「本籍」についての考え方も戦前のように固定したものでなく、随時現住所にあわせて変更したものが非常に多いからである。
 また本籍の変更をするとき、恩給法に規定されていることをなんら知らずにおこなつたのが普通であつて、いわんや肉親が戦死した場合の自己の利害を考慮するがごときは、何人も考え及ばなかつたところである。
 また戦死の公報にいたつては、ずつと遅れてなされているから、「戦死した日以後の転籍」という考え方も必ずしも実情にそわないものであろう。また時効に関する規定についても実情にあわせ再検討の要がある。
 恩給法の定める主旨に、よしや一つの筋があるとしても、右の事情の下では一率にこれを適用することは当を得ないものであると考えるが、やむべからざる事情の下に、本籍を変更した請求権者に対しては、この際その権利又は資格を認むべきであると思うが如何。また法規に明確な点といえどもこの際右の点については改正する要ありと思うが如何。
 右は、今日肉親を戦場に失つた遺族の痛切なる訴えであり、戦時の混乱な状況下にあつたがために当然扶助料をうくべき立場にありながら、これを棄却された多くの遺族の重大な不満となつていることを、あわせて述べておく次第である。

 右質問する。





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