衆議院

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昭和三十年七月四日提出
質問第一九号

 財団医療法人に対する相続税その他課税上の取扱に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十年七月四日

提出者  (注)山利秋

          衆議院議長 (注)谷秀次 殿




財団医療法人に対する相続税その他課税上の取扱に関する質問主意書


 財団医療法人が寄附を受けた財産に対して、相続税又は贈与税(以下単に相続税という)を課税し、また、解散した場合に限つて特別措置をするという国税庁の取扱は、違法ではないかと思われるので、質問する。

一 相続税法第六十六条第四項では、公益を目的とする事業を行う法人に対する財産の贈与または遺贈により、相続税または贈与税の負担が不当に減少する結果になると認められる場合は、財団を個人とみなして、相続税又は贈与税を課税する旨規定しているが、国税庁は、財団医療法人が設立の際寄附を受けた財産に対しては、この規定によつて相続税を課税するといつている。これに対して次の疑点がある。
 1 医療法人は、利益の配当を禁止されているけれども、解散したときの残余財産を受ける者として国又は公共団体等を指定していないから、公益法人と同一にはあつかえまい。また、公益法人は、法人税は無税であり、特別法人も法人税率が三十五パーセントであるのに、医療法人は一般商事会社と同様、営利法人として税率四十二パーセントを課税されている。相続税法中の非課税財産規定では、公益を目的とする事業を行う者の、公益を目的とする事業の用に供する財産は、相続税又は贈与税を課税しない旨定められている。しかして、個人の病院はこの公益事業の中にはいつていないから、個人病院を法人化したにすぎない医療法人もまた、公益事業とはいえまい。以上の事実よりして、医療法人は、公益を目的とする事業を行う法人とは考えられぬと思うがどうか。
 2 医療法人に寄附しておけば、相続の場合それだけ相続財産が減少するけれども、それは財団医療法人制定の目的であつたこと。
  また、相続税は取られぬけれども、解散してその財産が個人の手に帰したときには、相続税の身替り税金としてそれよりも多額な所得税を取られることになるので、相続税の不当な減少とはあながちいいきれぬと思うがどうか。
 3 かりに、医療法人が公益を目的とする事業を行う法人だとするならば、それを個人とみなして課税しようとするときには、前記一の非課税財産の規定に該当するので、課税できぬという矛盾に突き当ることになると思うがどうか。
二 国税庁では、相続税法の規定による過大な負担を救うみちなりとして、財団を解散して、社団を新設するか、又は個人病院となることを勧奨し、その場合だけに限つての特別措置なるものを通達している。たとえば、次のような違法取扱を行政命令でやらせるのは、権力の濫用ではないか。
 1 寄附を受けた財産に対する相続税は、解散したら取らぬ、解散しなければ取るとあるが、それでいいのか。(一般法人設立後二年ぐらい経つてから、課税問題が起つたときに解散しても、さかのぼつて法人設立がなかつたものと認めて取り扱えという要求があつた場合に、それを認めないと片手落ちとなるではないか。)
 2 解散後の法人の所得計算にあたり、帳簿に記載されている金額で財産の価額を見積れと指示しているが、それでいいのか。(普通の場合は時価で見積ることが原則である。もし合資会社を解散して、帳簿価額のまま、新設の株式会社へ引き継いでも、清算所得に課税するなという要求があつたら、どうするか。)
 3 解散当時の残余財産が個人に帰した場合に、一時の所得を課税しないというが、それでいいのか。(法律上は、一時の所得として所得税を課税することになつている。)
 4 財団を解散して社団を新設した場合に、清算所得の法人税を課税しないというが、それでいいのか。(法律上は、出資をこえた部分には法人税がかかる。)
 5 財団、社団を通じて一事業年度として、法人税を計算するといつているが、そのようなことが実務的にできると思つているのか。(法律上は別々に計算しなければならない。ただし、有限会社法による組織変更の場合を除く。)
 6 財団の財産を清算して、残余財産はこれを一度個人に分配してから、新設社団へ改めて出資しなおさねばならないはずであるのに、(医療法及び民法の解散の章の規定)清算なしの組織変更をおしつけている。それでいいのか。
 以上、いかなる理由によつてかかる違法な取扱がなしうるのか、その法的根拠をお伺いしたい。

 右質問する。



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