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昭和三十一年二月九日提出質問第一号
接収地の返還及び賃貸料に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和三十一年二月九日
提出者 中村※(注)吉
衆議院議長 ※(注)谷秀次 殿
接収地の返還及び賃貸料に関する質問主意書
左記鉄道引込線用地は、戦時中東京都板橋区上板橋町七丁目地先より旧東京第一陸軍造兵庁練馬倉庫(現自衛隊第一管区隊)までと、ほかに終戦と同時に連合軍鉄道引込線接収用地として右地先より成増グランドハイツ間(駐留軍宿舎)に鉄道路線を増設したもので、いずれもその敷地使用にあたつて強制徴用に類するものもあつたのであるが、左記のごとき経過で昭和二十七年四月以降賃貸料不払のまま現在に至つている。その後地主より特別調達庁に再三接渉したが要領を得ず、地主としては敷地の税金は負担しながら賃料の支払も受けず土地の返還もなく非常に迷惑している。
憲法にも基本的人権の尊重と財産権はこれを侵してはならないとあり、これは日本国憲法を貫く基本原則である。この憲法の基本原則はあくまで堅持されなければならない。しかるに右のような状態ゆえ政府はすみやかに地主に対し賃貸料を支払うか、土地を返還するか、いずれかの措置を講ずべきではないかと思う。
一 東京都板橋区上板橋町七丁目四千五百三十一番地地先より同四千六百五十七番地に至る土地は、昭和十九年四月一日鉄道引込線用地として旧陸軍造兵庁会計課長鷲尾弘音と地主の間に賃貸契約をなし、終戦まで旧陸軍造兵庁より、以後は大蔵省財務局に事務が引継がれて昭和二十四年三月まで関東財務局より該地代の支払を受けた。
一 さらに昭和二十一年十一月東上線上板橋駅より成増グランドハイツに至る鉄道引込線用延長地として連合軍に接収使用され、昭和二十七年三月三十一日まで東京鉄道管理局長より賃貸料の支払を受けていたが、昭和二十七年四月十七日附東施用二十七第千九百六十四号東京鉄道管理局長森田義衛より右鉄道引込線の連合軍接収用地の土地賃貸借契約の解除の通知を受けた。
従つて右鉄道引込線用地の土地賃貸借契約は解除せられたにもかかわらずその後も土地は地主に返還されず、なお連合軍及び自衛隊第一管区隊物資輸送のため列車を運転使用しており、事務の主管庁は特別調達庁に移管したので、以来再三調達庁に接渉したが責任のある回答を得られない。
右のような事情ゆえ地主一同の迷惑はなはだしきものがあるので、政府は速かに責任の所在を明確にして土地を地主に返還し、遅滞の賃貸料を至急に支払い、その解決をはかるべきではないか。政府の見解を伺いたい。
右質問する。