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昭和三十一年五月二十四日提出
質問第一四号

 宮崎県串間市官有地山野下戻しに関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十一年五月二十四日

提出者  大矢省三

          衆議院議長 (注)谷秀次 殿




宮崎県串間市官有地山野下戻しに関する質問主意書


 明治十二年地租改正に際し誤つて官有地に編入された里牧(一名百姓私牧ともいい、現在の串間市の全地域即ち元福島、北方、大束、市木、本城、都井の六箇町村)について、たびたびその官有地下戻しの申請をしたり、東京行政裁判所に訴訟を提起したりしていたところ、たまたま明治三十六年三月二十五日三十一牧九百三十名の行政訴訟が八箇年の長時日を経て、明治四十三年五月二十六日行政裁判所で次のように判決を下した。即ち
一 里牧はこれを設置経営した各牧場所在部落住民の所有地と認める。各牧場所在部落住民即ち原告等で本牧場の所有者もまた原告であると認めざるを得ない。しかしながら原告は部落住民の半数以上でなければその請求すべき持分は二分の一とするのを相当とする。
  以上のような判決でその後部落の原告以外の残住民で数回にわたり下戻し請求をしたが聞き届けがたいということで不許可の処分になつており、現在なお官有地として占有しているが、その理由はどうか。政府の見解を伺いたい。
二 仮りにその後年数が多く経ているので、たとえ民法上時効であるという疑義があるとしても明治三十三年下戻法期間内の下戻し請求は九百三十名であつても本牧場はすべて部落民の共有であるので、判決のごとく土地住民の半数としても全体に判決の効力を及ぼすものと断定する。
  右判決の原告九百三十名は全部部落の人の共有権の行使として土地立木全般に対する請求をなしたもので、その効力は即ち全部落の全部の人に及ぶものである。行政裁判所の判決によつて、求めた者に与え、求めない者には与えないのは法律の原則であるが、求めない残り部落住民の権利は厳として生きており、下戻し請求をすれば当然ただちに下戻しされるのが至当であると考えるがどうか。
三 判決による残住民は、行政裁判所法第二十二条による出訴期間内六十日以内に行政裁判を提起しないことによつてその権利を喪失したものとする点について疑義があるが、下戻しの申請は民法第二百五十二条による管理行為(保存行為)であり、その効力は残余者部落住民にも及ぼし、下戻し申請期間内になしたと同一の利益を享受し、下戻法第一条第二項の期間内経過による下戻し申請権を喪失したものにはならないと確認するが、その点はどうか。
四 前二項三項の法律上の疑義は別としても国家がいやしくも人民の所有権を取上げ、それを国家の最高の行政裁判において人民の権利であることを確認し、判決で二分の一だけを下戻し、その後原告以外の部落住民が数回下戻しの請求をしても皆拒絶され、依然としてそのままに占有されており、下戻す意志がないことは新憲法の基本的人権の尊重に留意していないことになると思うが、その点はどうか。

 右質問する。





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