質問本文情報
昭和三十八年四月八日提出質問第三号
公共用水の水質基準設定に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和三十八年四月八日
提出者 渡辺惣蔵
衆議院議長 ※(注)※(注)一※(注) 殿
公共用水の水質基準設定に関する質問主意書
昭和三十三年法律第百八十一号公共用水域の水質保全に関する法律及び同年法律第百八十二号工場排水等の規制に関する法律に基づき、近く、石狩川水域A地区の水質基準が決定されるようそく聞したので、その決定に当たり、従来約四千戸の関係農民が、多大な被害を被り、本年三月中旬以来、数次にわたり、行政庁及び国策パルプ工業株式会社旭川工場に対し、操業の停止と損害賠償の要求を掲げて、実力行使等の抗議を続けており、これが法廷闘争に発展し、さらに、春耕期を目前に控えて善処されない場合は、暴動化のきざしすら見受けられるのを憂慮するので、次の諸点について、政府の明確なる見解を求めたい。
二 農業に被害を与えない水質基準の設定に関し、次の諸点を明らかにされたい。
1 農業に被害を与えない水質基準の数値の内容を明示されたい。
2 前記水質基準を保持せしめるための工場廃液の除害施設の内容と、その効果等について、詳細に明示されたい。
3 前記除害施設の建設費とその管理経費及びその施設の建設年次計画を明示されたい。
4 石狩川A地区において、被害産業側の納得する水質基準監視機構とその運営の具体案を明示されたい。
5 もしも、以上の諸点を明確に、かつ、詳細に提示することのできない段階において、農業に被害を与えない水質基準を決定するということは、不可能の問題であると考えるが、政府の見解を具体的にお伺いいたしたい。
三 農業に被害を与えない水質基準の設定に基づき、工場その他が汚廃水処理施設を完備するまでの間、農作物に被害を与えることになるが、その被害補償をいかに措置せしめるかについての見解を承りたい。
四 現在国策パルプ工業株式会社旭川工場が放流している工場汚廃水の水質は、北海道知事の許可基準を数倍超えており、その下流で取水耕作している水稲に対しては、過去十有余年にわたつて、惨害を与えたことは事実である。ために関係被害農民は、十年来、工場廃水浄化施設の完備と、水質基準を厳守させるよう監督の強化を要請してきたのであるが、工場は除害施設の整備に誠意なく、また監督行政庁である北海道庁は、この違法行為を黙過し、被害農民の熱烈な要請に対して、効果的かつ必要な行政措置を講じなかつたことは、国家賠償法に言うところの、故意に関係農民に損害を与えたものと解釈されるのであるが、この点についての政府の見解をお伺いしたい。
右質問する。