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昭和四十四年七月十九日提出
質問第一〇号

 最高検察庁検事河井信太郎に対する検察官適格審査会の審査に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十四年七月十九日

提出者  池田正之輔

          衆議院議長 松田竹千代 殿




最高検察庁検事河井信太郎に対する検察官適格審査会の審査に関する質問主意書


 本員は、昭和四十三年十二月四日、最高検察庁検事、河井信太郎を「検察官の職務権限を乱用し、著しく人権をじゆうりんし、極度に国民の検察に対する不信感と疑惑をいだかしめ、検察官として許しがたいかずかずの行為であつた」(別紙証拠書類添付)事実を指摘して、同検事の適格性を審査して直ちに懲戒免職せられるよう検察官適格審査会に申立をなしたものである。
 しかるに、八箇月余を経過しているにもかかわらず、今日なおなんらの審査に付されないのみならず、当然なすべき調査もなんらの手続さえなされず今日まで放置されてきた。
 かくのごときことは、なんらかの政治的圧力か、法務省内部の勢力関係から故意に本件審査を引きのばしているものと考えざるを得ないことは誠に遺憾に堪えない。
 検察官は、国家権力の最も強い権限を発動できる国家行政機構上の重要なる職務である。それゆえに、検察庁法により身分の保障がなされているのである。国家権力を背景に、公益の代表として検察権を発動する官職だけに、「検察官として不適格である」との申立がなされた際は、すみやかに同適格審査会を開いて審査をとげ、直ちに不適者を排除し、さらにその結果を国民の前に明らかにすることが、法治国家として当然なすべき責務である。
 しかるに、同審査会はなんらなすことなく八箇月余も放置してきたことは、断じて許さるべきでない。

よつて、
一 検察官適格審査会令によれば同会は内閣の所管に属し、監督者は内閣総理大臣である。
  総理は、本件申立に対しいかなる報告をうけられたか、さらに審査にも付されないまま放任してきた理由について、明確に御回答を要請する。
二 国家及び国民にとつて検察官の非行を指摘し、その処分を求め得る唯一の機関は、検察官適格審査会である。従つて、同審査会の職責はきわめて重大であることをあえて付言しておく。
  総理は、本件のごとき申立がなされた際、どのような指示をする所存か、明確なる回答をなされたい。
三 法務大臣は、本件申立等、河井検事に関する問題は熟知しているのみならず、本職は本件申立をなすに際し、特に会見を求め、すみやかなる適格審査と実態の調査をあわせ申し入れたが、これに対し、いかなる措置をなされたか、また本件の最高責任者である総理大臣に報告をし、また指揮を受けた有無等に関し、経過並びにその結果について報告を詳細に回答せられたい。

 右質問する。


(別紙)
  証 拠 書 類 目 録  
一、 検察官適格審査申立書 一通
◇ 河井信太郎最高検察庁検事を、検察官の職務を執るに不適格である非行事実を三項目十一の
  実例を指摘した適格審査申立書
二、 月刊「現代」昭和四十三年十一月号 一部
◇ 河井検事が本員の名誉を著るしく傷つける論文を掲載したものである。
三、 月刊「二十世紀」昭和四十四年一月号 一部
◇ 本員が、河井検事を名誉毀損の罪ありと東京地検に、告訴、並びに東京地裁に謝罪広告及び
  損害賠償請求の訴訟を提起した理由を述べたものである。
四、 月刊「二十世紀」昭和四十三年十一月号 一部
五、 日本文華社刊「黒幕政商たち」 一部
六、 月刊「軍事研究」昭和四十三年十二月号 一部
◇ 右四、五、六はいずれも元読売新聞記者三田和夫によつて、昭和三十二年十月十八日付の読
  売新聞の大誤報は、河井検事の発言からだという論文が掲載されているものである。
七、 宮島鎮治の上告趣意書(写) 一通
◇ 造船疑獄事件に連座した宮島が、担当の小松検事に供述した献金を受けた政治家の氏名(吉
  田茂等)を、同人の目前で、河井検事によつて抹消された事実を記載してあるもの。
八、 ※(注)崎敏雄の陳述書(写) 一通
◇ 右の者は元総武開発株式会社代表取締役で、東京都議に贈賄した疑いで東京地検に逮捕され
  た者であるが、河井検事と前記会社の実力者平和相互銀行頭取小宮山英蔵との交友が事件指
  揮に際して多大な疑惑がある旨陳述し署名捺印したものである。
九、 申立人の法務大臣宛公開質問状(写) 一通
◇ 本員が、昭和四十三年七月一日付で法務大臣宛に検察首脳部の一員が、被疑者に弁護士を
  あつせんした事実があると指摘し公開で回答を求めた文書
一〇、 宮島鎮治の国会議員宛の陳情書 一通
  ◇前記、宮島が、昭和四十三年十月五日付にて、衆参両院法務委員長宛に、河井検事に弁護士
   をあつせんされた旨訴えている文書
一一、 「週刊新潮」昭和四十一年十月二十二日号 一通
  ◇河井検事が、国際興業小佐野賢治に二女の就職を依頼し、同社に就職せしめた事実を掲載し
   ているものである。
一二、 田中彰治の陳述書(写) 一通
  ◇同人が拘禁されていた間、高橋英吉弁護士を通じ、河井検事が、弁護士を推せんしてきた事
   実を陳述し、署名捺印したもの。
一三、 山屋八万雄の陳述書 一通
  ◇同人が平井義一氏を介して河井検事と二回に亘つて会食した事実を陳述し署名捺印したもの
   である。
一四、 「週刊新潮」昭和四十三年十一月十六日号 一部
  ◇宮島が造船疑惑事件の服役をすませて出所した直後、河井検事の招待で、二回に亘り会食し
   た事実を宮島談話として掲載しているものである。
一五、 宮島鎮治の陳述書 一通
  ◇被告であつた宮島に河井検事が、自分の著書を買い取らせた事実を陳述し、署名捺印した文
   書。




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