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昭和四十四年七月三十日提出
質問第一五号

 中野区役所跡地処分問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十四年七月三十日

提出者  松本善明

          衆議院議長 松田竹千代 殿




中野区役所跡地処分問題に関する質問主意書


 中野区役所跡地処分問題は、昭和四十三年九月上山中野区長が同地を東京郵政局に売却する案を区議会に提案して以来、中野区民の間で大きな問題となり、日本共産党の追及によつて、同地の処分が京成電鉄株式会社を介して行なわれることが明らかとなるにつれて、同地をシヨッピングセンターを含む高層の公営住宅、保育園、遊園地の用地にあてるよう要求してきた中野区民から強い反対をうけるにいたつた。
 しかも中野区議会は、このような区民の強い反対をうけている同地の処分を、昭和四十三年十二月二十七日、警察官百名を議場に導入するという異常な事態のもとで、十分な審議を行なうことなく強行決定した。
 今日、四百名に及ぶ中野区民から五次にわたる監査請求が行なわれ、また百名に及ぶ中野区民から上山中野区長を相手として、同地売却処分差止め請求の行政訴訟が行なわれている。
 わたくしは、同地の処分が、地方自治の精神に従い中野区民の要求にもとづいて適法に解決されることを希望するので、地方自治体所有地の処分にさいして適用される法規についての政府の見解をはじめ、中野区役所跡地に建設を予定している局舎に関する東京郵政局の計画及びそれに関連する事項について、以下の質問をする。

一 地方自治法(以下「法」という)第二三四条第二項及び同施行令(以下「令」という)第一六七条の二に規定する随意契約について、昭和三十八年十二月十九日自治庁行発第九三号各都道府県総務部長宛行政課長通知によれば「(随意契約ができる場合については)個々具体的、客観的に判断すべきであり、条例又は規則で一般的に……規定することはできない」としている。
 1 これは、随意契約が情実に左右され公正を害するおそれがあるため、これをなるべく制限する趣旨からでていると考えるが、どうか。
 2 中野区では、中野区契約事務規則第三八条第一項で「政令第百六十七条の二第一項により随意契約による場合に、同条同項第一号の『その性質または目的が競争入札に適しないもの』の基準は、次の各号に掲げるところによらなければならない。」として、「運送または保管の契約をするとき。特定物件を購入契約するとき。法令等により価格の定められている物品を購入契約するとき。」など、具体的例示を行ない、さらに同条第二項で契約担当者は、前項各号に掲げる場合であつても、競争入札に付することが著しく有利であると認める場合は、競争入札に付するよう努めなければならない。」と規定している。
   ところで、前掲自治省の通知では、「(随意契約による場合について)不動産の買入れ又は借入れ……物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」という規定の「その他の契約」については、条例・規則などで定めることはできないとしている。
   自治省の通知の趣旨は、中野区契約規則のように、個別的、具体的かつ制限的に規定する場合でも違法であるという趣旨か。
二 中野区民が、区当局にたいして行なつた跡地処分問題についての監査請求にたいする、中野区監査委員の通知によれば、「上山中野区長が京成電鉄にたいして行なつた中野区役所跡地売買契約は、法第二三四条第二項及び令第一六七条の二により、例外的に認められている随意契約によることができる場合の要件に該当しない」という請求人の主張にたいして、「この(随意契約によることができる場合として規定している令一六七条の二第一項の)定め方は、必ずしも厳格な要件を定めることなく、抽象的な要件を示している点がうかがわれる。……したがつて、契約締結の方式についての法の趣旨は、各個の契約の目的に即した弾力的運用を期待しているものであると解される。」として、前掲中野区契約事務規則第三八条の規定は「随意契約によることができる場合について一般的な定め方をしているものであつて、自治省通知の趣旨からいつて明らかに法令の趣旨に反する定めである。法令に反する条例・規則は無効であり、区長の行なう契約締結行為を拘束する力を有しないといわざるを得ない。」と結論づけ、区長に対する要望事項として、この条項の削除を強く要望している。
 1 政府は、監査委員が条例・規則の違法無効を主張したり、条例・規則の条項の削除を要望する権限はあると考えるか。あるとすればどのような法的根拠によるか。
 2 区長がその事務を行なうにあたつては、法令のゆるす範囲で、つねに区民の利益の増進に努めるべきであると考えるが、政府の見解はどうか。
 3 中野区役所跡地処分問題で、上山中野区長は川崎京成電鉄社長との間に、中野区役所跡地の所有権を、東京郵政局に移転させることを条件として売買契約を結んだが、このような条件があつたとしても、この種の売買契約が競争入札を排除しないばかりか、競争者を介入させることによつて区民に有利な結果をもたらすことは明らかである。
   しかるに中野区監査委員の通知によれば、「(このような売買契約は)その性質又は目的からみて本来競争を許さないもの」としている。
   これは区有地を売却するにあたつてとるべき区長及び区当局の態度としては妥当性を欠くものと考えるが、政府の見解はどうか。
三 中野区役所跡地は、東京都の都市計画によれば商業地域として指定され、地理的環境からみても、周囲は商店街が立ちならび、道路・交通事情はきわめて悪く、車の出入りのはげしい郵便局舎の用地には不向きである。
  また、都道二十六号線拡張のため立退きを迫られている七十戸をこえる住民をはじめとして多くの住民から、立退きする人達の代替地の要求やシヨッピングセンター建設の請願が出され、東京郵政局への所有権の移転、とりわけ京成電鉄を介しての売却には大きな反対がおこつている。
  郵政業務は、地域住民ときわめて密接な関係をもつ性質のものであり、地域住民の大きな反対運動をも無視してその局舎を建てることは、行政上からみても決して好ましいものではないと考える。
 1 政府は、このような事情を考慮して、同地に郵便局舎を移転建設することを断念する意思はないか。
 2 断念しないとすれば、その理由は何か。
 3 跡地売却差止めの行政訴訟で区当局が敗訴した場合、政府はどうする考えか。
 4 東京郵政局は、昭和四十三年六月十日付で京成電鉄と覚書を交換しているが、その中で、京成電鉄が東京郵政局に提供すべき土地は「下谷一丁目(旧坂本)の民有地」及び「東京郵政局が指定する土地」とされている。この場合の「東京郵政局が指定する土地」について、東京郵政局は中野区役所跡地以外に検討した土地があつたか。あるとすればどこか。
 5 東京郵政局は中野区役所跡地以外に適当な土地があれば計画を変更できるか。できないとすればその理由は何か。
 6 東京郵政局は、同地を取得したのち、その敷地上に郵政省職員住宅を建設する予定であるといわれているが、本年度予算にその予算がいくら組まれているか。
 7 右職員住宅について、建設についやされる予算(実行予算)は決定されたか。されていないとすればいつ決定する予定か。
 8 中野区役所跡地に隣接して東京都住宅供給公社の所有地があるが、この土地を買収する計画ないし買収契約はできているか。買収予定価格はいくらか。
 9 東京郵政局が中野区役所跡地を取得するにさいしては、同地の価格を第三者に鑑定させているはずであるが、その鑑定価格及び鑑定者を明らかにされたい。
 10 東京郵政局は京成電鉄との覚書の中で、下谷一丁目(旧坂本)の民有地を指定しており、この土地の価格を一平方メートルあたり十五万八千百円と査定しているが、その根拠を示されたい。
 11 東京郵政局は京成電鉄にたいし、交換に供する土地として下谷郵便局敷地をあて、価格を一平方メートルあたり五十三万二千四百円と査定しているが、その根拠を示されたい。
 12 下谷郵便局の移転計画はいつから検討されたか。また移転の理由と移転計画の概要を問う。

 右質問する。





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