質問本文情報
昭和四十六年三月十六日提出質問第四号
労災医療に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和四十六年三月十六日
提出者 受田新吉
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
労災医療に関する質問主意書
昭和四十五年一月二十二日に開かれた左記の労働保険審査会の裁決がまだ出されていないので、これに関する労災医療のあり方について質問する。
記 | |||
事件番号 | 昭和四十四年労第一〇三号 | ||
事 件 名 | 療養 休業 |
補償給付の不支給決定の取消再審査請求事件 |
この事件は、ムチ打ち症にかかつた労災適用中の患者が、いくつかの有名病院にかかつてもなおる見込みがなかつたが、某治療室の療法で快方に向かい、全治の見込みとなつたとき、請求した労災補償費が「この療法は労災保険法上の療養の範囲に属さない」として全額不支給の通知をうけた。請求人はこれを不服として再審査を請求したものである。
再審査会は昭和四十五年一月二十二日に開かれたが、昭和四十六年二月末日現在まだ裁決は出ていない。
二 労災法の目的
労災法の目的は、「業務上傷害をうけた労働者が、一日も早く職場に復帰できることを願い」、その医療については「一般社会保険で認められているもの以外でも、医療効果が期待できるものについては、保険給付の対象として認められる」と、労働省労働基準局労災補償部監修の「労災医療」第三章二一三頁に明記されている。
三 ムチ打ち症医療の現状
昭和四十四年度の厚生省委託研究の結果でも、「ムチ打ち症の診断・治療には決め手となるものはない」と報告されている。
こうしたとき昭和四十五年五月六日衆議院交通安全対策特別委員会では、さきの治療法をテーマとした映画「ムチ打ち症に挑む」を観覧したが、新学説による有効な治療法との感を深くした。
またこの治療法による著書「ムチ打ち症はこうして治す」が、昭和四十六年一月に発行されて反響を呼び、ラジオ・テレビなどでも報道されて全国的に関心を集めてきた。
四 業界からの要望
この速効的な治療法は、保険金支払いの急増に悩む保険会社からも喜ばれ、労災の適用はタクシー業界からも強い要望となりつつある。
五 質問の主意
激増する交通戦争によつて、ムチ打ち症治療の確立が急を要するとき、かかる有効な治療法の出現したことは大きな朗報である。現実に効果があつて傷病労働者が受療を望む療法があれば、これに労災を適用するのが、労災法の目的に合致するものと考える。
以上のことから現行の労災医療に関する政府通達を改正すべきでないか。
右質問する。