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昭和四十六年五月十日提出
質問第九号

 検事河井信太郎に対する検察官適格審査会の運営と審査に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十六年五月十日

提出者  池田正之輔

          衆議院議長 (注)田 中 殿




検事河井信太郎に対する検察官適格審査会の運営と審査に関する質問主意書


 本員は、ここに検察庁法第二十三条に基づき、検察官の適格に関し審議する任務と権限を有する、検察官適格審査会の運営に関し、内閣に対し質問を行なうものである。
 質問の要点は、検察官適格審査会の任務の重大性にもかかわらず、その運営がはなはだしくずさんで、法律によつて与えられた信頼を裏切るのではないか、このことに関する内閣の態度はどうかをただすことにある。
 まず問題の緊急性と重大性を明確にするため、本員自身が関与した事実の経過をここに披露する。本員は、昭和四十三年十二月五日検察庁内においてきわめて枢要の地位にある検事河井信太郎の適格性に関し、大いなる疑義を持つたので同検事の適格性を審査して、直ちに懲戒免職せらるべき旨の申立書を、検察官適格審査会に書面で提出した。そして本員の知り得た同検事の検察官としてあるまじき非行の数々を具体的に列挙し、その理由を明確に記して申立てを行なつた。ところが、それから一年有余たつてもなんらの措置もとられないので、本員は、「河井信太郎に対する検察官適格審査会の審査に関する質問主意書」を昭和四十四年七月十九日提出したところ、同月二十九日内閣総理大臣から次のような答弁書(内閣衆質六一第一〇号)を受領した。
 その内容は「検察官適格審査会は、身分保障の特に厚い検察官の適格性の有無を審査の対象とするものである点にかんがみ、慎重かつ公正にその職権を行使するものであり、検事河井信太郎に係る申立ての取扱いについて、不当に放置しているがごときことは、断じてないものと考える」というものであつた。
 しかるところ、右答弁書を受けて後、更に一年有余を経過し、本件申立ての時から実に二年有余を経過した昭和四十五年十一月二十六日に至り、ようやく同審査会は本員の申立てに係る検事河井信太郎が不適格でない旨の結論を出したのである。
 さて、本員は右の申立てをなすに当たり、申立てに係る検事河井信太郎についての数多くの非行事実を、実に三項目十三件にわたり、確固たる証拠をあげて指摘したのである。
 それにもかかわらず、検察官適格審査会は、本員が指摘したそれらの事実の実体についてはなんらの調査を行なつた形跡も見られず、わずかに同検事からの書面による一方的弁明のみを採用して、かかる結論を出したのである。このような運営は明らかに人権擁護の精神に基づいて設置された、同審査会の使命に違反するものである、と断ぜざるを得ない。
 以上が本員が関与した事実の経過の概要である。思うに、このようなことはひとり本員だけがたまたま経験した事実であるとは到底考えられず、本員と同様の立場に置かれた体験を持つ国民は他にも数多くあると見なければならない。よつて次の諸点について、政府の見解を承りたい。

一 検察官適格審査会は右に述べた本員が行なつた検事河井信太郎に対する申立て事実についてどのような調査を行なつたか、及びいかなる理由によつて本員の申立てを採用しなかつたかについて、これを明らかにする意思ありや否や。
二 検察官適格審査会が右に述べたように本員の申立てについてなんら調査をせず、申立てに係る検事の一方的な、しかも書面による弁明のみによつて同検事を不適格でないと認定したとするならば、そのような運営は同審査会の存在意義を没却するものであると思うがどうか。また、そのような運営の責任は何人が負うことになるのか。
三 右の二点に関連して、本員の申立てに係る事実について法務大臣及び検事総長において実体調査をしたことがあるか、したとすればどういう調査をしたか明確にせられたい。
四 そもそも現行法の検察官適格審査会制度は、審査を発動する場合として、三年ごとの定時審査、法務大臣の請求による随時審査、職権による随時審査の三つの場合を規定するに止まり、広く国民一般からの審査の発動を促す手続きを定めていないばかりか、審査の手続きについても審査の公正を保障するための手続き規定を全く欠いている。
五 そもそも検察官は厚い身分保障の下に強大な権力を持つ官職である。このような検察官の適格性を審議する任務を持つ検察官適格審査会の存在は、国民の人権擁護に重大な影響を持つものであることは明らかである。
  政府は、検察官適格審査会につき現行制度を再検討し、国民一般に審査申立てを認める規定並びに審査の内容及び手続きを公正にするための規定、審査の結果を理由を附して申立人に通知する規定等を整備する外、その運営の公正と検察官の行動に対する国民の監視を強化するために必要な規定の整備をなすべきであると思うが、どうか。

 右質問する。





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