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昭和四十八年七月十九日提出
質問第一三号

 地代家賃統制令に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十八年七月十九日

提出者  渡辺武三

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




地代家賃統制令に関する再質問主意書


一 私が先に提出した地代家賃統制令に関する質問主意書に対する答弁書によれば、昭和四十六年の統制改正については、「大都市の平均的な宅地の昭和四十六年度における固定資産評価額及び固定資産税課税標準額を三・三平方メートルあたり六一、二〇〇円及び一八、九〇〇円、昭和四十八年度の土地の評価替えによる評価額の増加率を一・七倍、各年度の課税標準額の増加率を一・三倍と見込んで改正後の統制対象の地代・家賃の額の試算を行つた。同試算によれば、三・三平方メートルあたり昭和四十六年度における地代一一一円、家賃三三八円、昭和四十七年度における地代一四一円、家賃三八三円、昭和四十八年度における地代一八八円、家賃四五三円である。以上の結果、昭和四十六年度の改正後の統制額は、家賃において統制対象外家賃の約二〇%、地代においては、統制対象外地代の約八〇%に留まるものと見込まれた。」としている。
 右にいう大都市の平均的な宅地の評価については、どのような場所を、どのような方法で抽出したものか明らかでなく、大都市である東京都の比較的借地の多い地域を抽出調査したものとは到底考えられない。
例えば
 (1) 東京都江東区東陽三丁目五番十一号、N不動産会社所有の宅地四四一・〇九m(一三四坪)の昭和四十八年地代は、

9,926,105× 50 496,305 .25 (地代)
1000
(課税標準額)
9,926,105× 14 138,965 .47 (固定資産税)
1000
34,344,880× 6,868 .976 (都市計画税)
10000
496,305.25+138,965.47+6,868.976 =399.340(1ヵ月1坪地代)
134×12

 (2) 東京都台東区千束二丁目三十二番五号、T所有の土地について、右同様の方法で計算すると、一カ月の一坪の地代は、一、二九五円強となる。
     これは、同地の近隣価格と比較し、統制対象外物件の二倍以上の地代となつている。
     (前(1)の近隣地代は二〇〇〜三〇〇円であり(2)でも二〇〇〜三〇〇円である)
二 また、前記答弁は、「告示改正は、建設大臣が、地代・家賃の実態、統制令の実施状況等を調査検討し、改正の影響、当事者の利害をも考慮して原案を作成し、経済企画庁長官と協議のうえ、物価対策閣僚協議会の議を経て決定したものである。」「前述のように、昭和四十六年の告示改正は、統制額が公正でないと認められるに至つたため行つたものであり、その統制額も、賃料の急激な上昇と借主の過重な負担を避けるよう配慮して決定されたものである。従つて、改正後の統制額は公正であり、告示改正が地代家賃統制令の趣旨に反した越権行為であるとはいえない。」としている。
  しかし、右のような実態を見るならば説明するまでもなくこの改正が、公正なものでなく著しく社会通念を無視した無謀なものであり、土地所有者の一方的利益のみを考慮してなされたものであることは余りにも明白である。そればかりでなく、このような不合理な値上げが許容された結果、この計算例による地代計算が、他の統制令適用外の土地の地代値上げの口実にされ、深刻な混乱を生ぜしめている。
  本来、右改正は、土地の価格(課税標準額であるが、この額は毎年引き上げられ時価に近づきつつある。)の五%を地代として算出したものであり、この方法自体極めて問題である。借地の場合の土地所有権者の受益割合は、二〇〜三〇%と言われているから、その土地を投資額とみた場合、利益率を年五%とすれば、所有者の受益額に五%を乗ずるのが妥当な額と言うべきであろう。それを借地権を含めた土地価格に、いきなり五%を乗じたところに、根本的な問題があると言わなければならない。
三 地代の大幅な値上がりは、右の統制令によるものであるが同時に看過し得ないのは、固定資産税、都市計画税の値上がりである。これは、課税標準額、同評価額の大幅な値上げに基因するが、それとともに税率にもある。これら税金が、純粋地代に加算される結果、一層借地人の負担を増加させていることになつている。また、公租、公課の値上がりが地代値上げの口実とされていることは周知の事実である。
  以上のような事情を考慮して、次の質問をする。
四(一) 統制令によつて算出された地代の額は大都市において極めて高額不当なものであるので、速やかにこれを改正し、改正前の状態に復するか、計算例を半額(課税標準額の千分の二十五)とするよう、改正すべきであると思うが、その意向はないか。
 (二) 地代家賃統制令の大都市における適用情況と、それによる地代家賃の実態を早急に調査のうえ、これを国民の前に明らかにし、統制令の改正に着手する意図はないか。
 (三) 固定資産税、都市計画税を一〇〇坪以下の借地人に貸与している地主については、免除あるいは減額すべきであると考えるが、その意図はないか。
    誠意のある回答をたまわりたい。

 右質問する。





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