衆議院

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昭和四十九年四月十二日提出
質問第二三号

 成田空港と航空の安全に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年四月十二日

提出者  木原 実

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




成田空港と航空の安全に関する再質問主意書


 さきに提出した成田空港と航空の安全に関する質問に対し、田中内閣総理大臣より答弁書の送付を受けた。これらの回答には、根拠が不明確であつたり、論理が不十分であると思われる部分があるので、前回と同様の趣旨の下に再度質問いたしたい。

一 成田空港開港時の空域に関する答弁について
 (1) 「成田空港及び隣接飛行揚の管制上の管轄空域については、目下関係機関と調整中であり、まだ確定した案はもつていない。」と答弁されるが
   (イ) 隣接飛行場とはどこか、すべてを挙げられたい。
   (ロ) 関係機関とはどこか、すべてを挙げられたい。
   (ハ) 調整中の項目は何か、すべてを挙げられたい。
 (2) 成田空港の開港は、当初昭和四十六年四月といわれていたが、現実の事態の推移にそつて勘案するならば、昭和五十年以前の開港は不可能であると思われる。とするならば、開港時期は、少なくともまる四年遅延したことになるが、かように長期にわたつて開港が遅延しているのに、関係する空域が調整中であるとして今もつて決定されないばかりか、その案さえ確定していない。
   (イ) 今もつて空域案さえ確定されない責任はどこにあるのか。
   (ロ) 今もつて空域案さえ確定されない理由は何なのか。
   (ハ) あえて空域案さえ確定しないのならばその理由は何か。
   (ニ) 何ゆえに開港日時が現実に決定されないと、空域案を決定できないのか、開港日時と独立に決定できない理由は何か。
 (3) 防衛庁海上自衛隊の所管になる下総飛行場の進入管制は、成田空港開港後は羽田空域の一部として行われるのか。
 (4) 阿見及び御宿VORDME上空周辺が、要注意空域(コーション・エリヤ)であることに関する答弁で、「一般的に、ある空域において、航空交通量が多い場合には、できるだけ高度的に分離した複数飛行経路を使用する……」と述べられているが
   (イ) 航空交通も物理現象であつて、客観的な評価は容易である。そこで、航空交通量について、「高度的に分離した複数飛行経路を使用する」ことが望ましいとする条件及びそうしなければならない条件をそれぞれ物理量を用いて定量的に示されたい。
   (ロ) 「高度的に分離した複数飛行経路」とは何か。具体的に明らかにされたい。
   (ハ) 飛行経路を高度差により設定する場合、その経路を飛行する航空機が定常水平飛行以外である場合にはどのような条件が課されるか。
   (ニ) 例えば、航空機の離陸上昇性能は、機種、到着地及び気象等によりかなり左右される。
      かかる場合、離陸経路を他の飛行経路と分離するにはどのような条件が課されるのか。
二 成田空港開港時の成田空港及び羽田空港の離着陸の飛行コースに対する答弁について
 (1) 成田空港の飛行コースの決定に当たつて了解をとりつける予定の周辺自治体名をすべて明らかにされたい。
 (2) 周辺自治体の了解をとりつける作業はいつから始めるのか。
 (3) 周辺自治体の了解をとりつけるべき飛行コース案は、いつごろまでにつくられるのか。
 (4) (3)の飛行コース案は、周辺自治体の要望をとり入れて更に変更されることはあり得るのか。
 (5) 成田空港の飛行コースのうちほぼ結論のでている洋上部分について二百万分の一程度の縮尺度をもつ地図(又は航空図)にて明らかにされたい。
 (6) 成田空港及び羽田空港の離着陸の飛行コースは、どのような条件がととのえば決定できるのか。かかる条件には、航空管制上の条件以外があり得るのか。
 (7) 開港時期がまる四年も遅延するのに、運輸省航空局には飛行ルートを決定する航空管制上の能力がないのか。かかる能力をなぜ具備しておかないのか。
 (8) 何ゆえ、成田空港及び羽田空港の離着陸の飛行コースは、成田空港の開港時期が現実的に定められないと決定できないのか。両者の相関関係につき明らかにされたい。
 (9) 成田空港と三宅VORDME間をシングル・ルートからマルチ・ルートに変更(又は拡大)する客観的な条件(例えば単位時間当たりの飛行する機種、機数など)を示されたい。
 (10) 「マルチ・ルートを設定する場合、関係省庁間で検討している。」と答弁されている。
    (イ) 関係省庁とはどこか、すべてを挙げられたい。
    (ロ) 検討された日時及び内容をすべて挙げられたい。
三 防衛庁航空自衛隊の百里空域関係の答弁について
 (1) タカン進入着陸を北側から行わない理由は何か。
 (2) 百里飛行場の主滑走路は南北どちらの方向か。また、何パーセントの使用率か。
 (3) タカン進入着陸経路のアーク部分の半径はおよそ何キロメートルか。
 (4) 百里空域の広さというのは、百里基地に配備される機種及び機数とは無関係に定められているとしてよいのか。
 (5) 逆に、与えられた機種及び機数で既存の空域内部で処理できるように、飛行制限を行う場合があり得るとしてよいのか。
 (6) (5)における飛行制限が必要となる条件は、当面発生しないとしているのか。
 (7) 成田空域の開設により、百里空域が狭められるということはないのか。もし狭められるとしたとき、それでも(5)にいう飛行制限が必要となる条件について問題が生じないとしているのか。
 (8) F104J型機が発進後、直進上昇して高度二千メートルに達するとき、進行した距離の地上へ投影した長さはおよそどれほどか。
 (9) 「成田空港と百里飛行場については、両立させることが可能であるので、百里飛行場を撤去する考えはない。」と答弁されている。
     百里基地の存続の是非は、政治的な選択でもあるので、ここでは問わない。しかし、両立させるということが可能であるというとき、成田空港と百里基地とがそれぞれの存在目的からして、まつたく自由にそれぞれの機能を発揮しても相互に干渉しあうことが絶対ないという意味で両立させることができると主張していると解釈してよいのか。両飛行場とも今後ますますそれらの機能が拡張されることが予想されるが、それでも絶対に空域的には干渉しないと主張しているとしてよいのか。
四 新東京国際空港管制空域図による当初案に関する答弁について
 (1) 「成田空港の位置決定に当たつては……管制上の関係を最も重視して検討を行つた。」と答弁されている。新空港の位置の決定に当たつては、その設置が周辺住民に及ぼす影響についてはあまり重視されなかつたとしてよいか。その理由は何か。
 (2) 新空港の位置決定に当たつてなされた「専門的な見地からの検討」の内容を項目別に示され、かつ、結論に至る経過も併せて明らかにされたい。
 (3) 「当初策定した管制空域は……綿密な検討を経て得られた結果である。」としながらも「当初の案は、進入、出発の経路の基本計画を定めるものであり、待機経路については特に確定しなかつた。」と答弁されている。一方、一において管制上の管轄空域を決定する原則として、進入、出発及び待機経路を勘案しなければならないと主張している。何ゆえ、待機経路を設定することなく綿密な検討を行い得たのか。また、「綿密な検討」の内容を項目別に明らかにされたい。
五 関東エリヤで安全な航空管制を実施することに関する答弁について
 (1) 「一元的なターミナル・レーダー管制業務を実施する」条件として「航空機の飛行経路が錯綜し及びそれらの経路上の航空交通の態様が輻輳化するに至つたとき」を挙げているが、
   (イ) 一元化するに必要な程に「飛行経路が錯綜している」と判断する客観的な基準を具体的に明らかにされたい。
   (ロ) 「態様が輻輳化する」とは具体的にどういうことか。
   (ハ) 一元化するに必要な程に「態様が輻輳化している」と判断する客観的な基準を具体的に明らかにされたい。
   (ニ) 現実の状況がかかる二つの基準を満たすようになつているかどうかは、絶えずチェックされているのか。チェックしている機関名を明らかにされたい。
 (2) 管制業務の一元化は、処理能力の向上を目的として行われるのであつて、とりわけ安全性の向上が目的でないとしてよいのか。
 (3) 「管制は、その時点における態勢に応じ常に安全を考慮して行うものであり」と答弁されるが、
   (イ) かかる処置が結果として常に絶対的に安全管制が行われている状況をつくり出すと何ゆえいえるのか。
   (ロ) 「態勢に応じ」とあるが態勢に応じられているかどうかは、どのように判断されるのか。
   (ハ) 「安全を考慮して行う」ということが、どうして、直ちに「安全である」ということになるのか。「安全である」ということは結果的にいえることではないのか。
 (4) 「ターミナル・レーダー管制業務の一元化が遅れたことが原因で事故が発生することは考えられない」と答弁されているが、これはいいすぎではないのか。現在までに世界で発生した空中衝突による航空事故を再度慎重に吟味検討され、えりをただして再度答弁されたい。
 (5) 一元化するのが遅れて、空中衝突事故が発生した場合の刑事上の責任が追及されるのは、機長、管制官、空域管理責任者(航空局長)及び予算責任者(主計局長)のうちいずれか。その理由は何か。
 (6) 航空管制上、航空機が離陸後上昇して航空路上の巡航高度(例えば三一、〇〇〇〜三七、〇〇〇フィート)に達するのに、どの程度の距離(又はその地上への投影される長さ)を飛行するとしているのか。上昇が最も速い場合と最も遅い場合の二つを明らかにされたい。
 (7) 「世界的に広く採用されている基準である」と答弁されているが、独自に安全性の検討を行わなかつた理由は何か。
 (8) 関東エリヤにおける管制の一元化は、横田、羽田、成田及び百里の四つの全空域を対象として行われるのか、あるいは、当面予想される一元化空域はどこと、どこか。また、どの省庁の主導により行われるのか。
六 横田空域に関する答弁について
 (1) 「横田飛行場の進入管制エリアについては、従来から逐次当該エリアの縮小等を行う…」と答弁されている。逐次行われたとされる当該エリアの縮小等の日時、目的及び内容を項目別に明らかにされたい。
 (2) 横田空域の管制権の返還を「要求したことはない」と答弁されているが、我が国が昭和二十年に敗戦して以来の占領状態を持続させておくことは、我が国の国家主権からみて妥当な処置であるとするならば、その理由を明らかにされたい。
七 進入燈に関する答弁について
 (1) 「本方式は、各燈器の光度、配光及び燈器の配列、色等によつて提供されるパターン的情報内容から判断して、標準型進入燈と同等の機能を有する」と答弁されているが、実験(又はシミュレーション)を行つてみての結論なのか。どのような実験をいつ、どこで行つたのか。
 (2) (1)で実験を行つての結論ではないとするなら、何ゆえ実験を行わなかつたのか。進入着陸時というのは、航空事故の発生も多く、パイロットに格別の緊張を強いる局面である。かかる局面に対し、新方式を導入するには、マン・マシン・システムとか人間工学とかを述べるまでもなく、実験による検討が不可欠であると思われる。
 (3) 「IATA及びIFALPAの同意を得ている」と答弁されているが、かかる同意が得られた時期(年月日)、方法及び相手方よりつけられた注文(若しあれば)と対応策をIATA及びIFALPA別に明らかにされたい。
 (4) 「航空法施行規則第七十九条及び第百十七条については、その他の条項とともに実情に即するよう……」改正されたものである。」と答弁されている。時期的には他の条項の改正時期に合わせただけのことと思うが、本条項の場合の「実情」とは何か。具体的に明らかにされたい。
 (5) 「本件進入燈を原因として事故が発生するとは考えられない。」と答弁されているが、本件進入燈を原因として事故が現実に発生した場合は、パイロット・ミスか又は原因不明の結論を導く事故調査報告書がつくられるとしてよいか。
八 成田空港の気象状況に関する答弁について
 (1) カテゴリーIIが必要となる気象状況のひん度は年間平均でどの位か。
 (2) 霧の発生等による視界不良の状況の発生のひん度がどのくらいになつたとき国際空港としてはカテゴリーIIが必要となるとするのか。
 (3) A滑走路の南側からの進入着陸にはカテゴリーIIを用いないと聞くが、国際空港として不適格とはならないのか。また、その理由は何か。
 (4) 代替空港として、どこを予定しているか。
九 障害物件に関する答弁について
 (1) 答弁書の別表で示された障害物件のうち、進入表面、転移表面又は水平表面が運輸大臣により告示されたあと、設置又は植栽された障害物件はどれか。また、その時期を明らかにされたい。
 (2) (1)にいう障害物件の除去に対しどのような除去対策がなされてきたかを具体的に明らかにされたい。

 右質問する。



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