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昭和五十年三月三十一日提出
質問第一五号

 戦災傷病者に対する特別援護措置に関する第三回質問主意書に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十年三月三十一日

提出者  渡辺武三

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




戦災傷病者に対する特別援護措置に関する第三回質問主意書に関する質問主意書


 標記の再質問に対する政府の答弁は、本員が委曲を尽くして熱心に質問をしたにもかかわらず、質問の趣旨に対して逐一答えることなく、前回の答弁と同様、冷淡そのものであり、誠意の片りんだも見られず、はなはだ遺憾に堪えない。
 よつて、次の質問事項に対し、各項目ごとに政府の明確な見解を懇切、詳細に説明されたい。

一 太平洋戦争は、国家総力戦であつて、前線と銃後の区別なく戦われ、国民のすべてが戦争遂行に協力したものであること、言を待たない。
  特に、旧防空法では、「空襲ニ因リ建築物二火災ノ危険ヲ生ジタルトキハ其ノ管理者、所有者、居住者其ノ他命令ヲ以テ定ムル者ハ之ガ応急防火ヲ為スベシ」と義務づけられ、これに従わないときは一年以下の懲役又は千円以下の罰金さえ科せられていたのである。
  戦争の末期にあつては、夜昼の区別なく激しい空襲で内地の諸都市はせい惨な戦場と化し、国民はあげて忠実にその義務を遂行し、ために多数の戦災傷病者を出すに至つたのである。
  しかるに、戦後三十年の今日に至るも、まだこれら戦災傷病者に対しては何らの援護の措置が講じられていないので、今なお傷病苦と生活苦にしんぎんする戦災傷病者の数は、決して少なくない。
  政府は、この現状をいかに認識しているか。また、これらの者に対しては、一般の社会保障施策の拡充により対処していくことが適当であるとしているが、その具体策はいかなるものであるか。
二 戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用対象者の中には、軍人、軍属のごとく国と一定の使用関係にあつた者以外に、必ずしも国と一定の使用関係にあつた者とはいえない準軍属、すなわち、旧国家総動員法に基づく被徴用者、昭和二十年三月の閣議決定国民義勇隊組織に関する件に基づいて組織された国民義勇隊の隊員、昭和十四年十二月の閣議決定満洲開拓民に関する基本方策に関する件に基づいて組織された満洲開拓義勇隊の隊員等が含まれている。
  戦災傷病者は、一般人であるにせよ、これらの準軍属と比較して実質的にさほど径庭がないと考えるがどうか。したがつて、両者の援護措置につき格段の差別を設け、一方は認め他方は認めないというのは、妥当性を欠くものと考えるがどうか。
三 戦傷病者及び原子爆弾被爆者に対する特別援護措置は、戦後措置の一環としてとられたものであり、極めて適切といえる。
  しかるに、戦災傷病者に対しては、ひとしく戦争犠牲者でありながら、何らの戦後措置がとられておらず、これらの者は片隅の忘れられた存在となり、今なお後遺症と生活苦に悩まされ、希望なき日々の生活を強いられている。
  戦後は終つたといわれるが、これらの者に政府から何らの救いの手もなく、置き去りにしているのは、はなはだ片手落ちと考えるがどうか。
四 再言すれば、太平洋戦争は、国家総動員体制の下に全国民が「滅私奉公」、「一億火の玉」となつて、国のために戦つた戦争である。
  その戦争犠牲者が軍人、軍属、一般人のいずれであるかによつて、戦後の援護措置に差別を設けるべき合理的理由は全く存在しない。
  一般戦災傷病者は、当時その数四十数万といわれていたが、政府は、最近その実態を調査したか。調査したとすれば、その実態はどのようなものであるか。
  もしその実態を調査していないとすれば、怠慢のそしりを免れない。政府は、即刻実態調査を行つて、対策の要否を検討した上、必要な援護措置を講ずべきが至当と考えるがどうか。
  これを要するに、福祉国家とは名ばかりであつてはならないと考えるがどうか。

 右質問する。





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