衆議院

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昭和五十一年五月二十日提出
質問第二一号

 救急医療、休日・夜間診療に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十一年五月二十日

提出者  浦井 洋

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




救急医療、休日・夜間診療に関する質問主意書


 救急患者が三五ヵ所もの病院を“たらい回し”されるなどという本来考えられないはずの事態が、今日の日本では珍らしくなく、消防庁の調査によれば、年間五万件以上の“たらい回し”が起こつている。その過程で適切な措置がなされていたならば、助かつたかも知れない生命が失なわれてしまうケースも少なくない。正に異常な事態であり、政府の医療行政の欠陥を余すところなく露呈したものと言わざるを得ない。
 救急医療は、医師、医療従事者の二四時間待機、高度の医療施設や技術を必要としており、国や自治体が責任を持つて、地域の開業医などと協力してその体制を整備すべきである。
 国や自治体が責任を放棄して、救急医療の大半を民間医療機関に押し付けている現状に安易によりかかつているのみではならない。
 かかる観点から若干の質問を行う。

一(1) 救急、休日・夜間診療の実態を調査すると、この問題は今日の日本医療の矛盾の集中的な現れであり、自治体と地域の医療機関との努力にもかかわらず、容易に解決の見通しの立たない状態にある。
     憲法第十三条並びに第二十五条によつて、国民は健康を守られる権利を保障されており、国はこれを守るべき義務があるものと考えられる。国民の健康、生命に直接かかわる救急医療、休日・夜間診療に対し、国が責任を負うべきは明らかであるが、政府はその責任についてどのように考えるか。
 (2) 救急、休日・夜間診療はその性格上、多くは不採算医療に該当すると考えられるが、政府はこれを認めるか。
     厳しい地方財政難の中で、休日・夜間診療体制を確保するため、地方自治体は超過負担を余儀なくされており、財政上の問題が(救急)、休日・夜間診療を不備にしている最大の原因の一つとなつている。国の財政援助を抜本的に改善すべきであると思うが、政府は具体的にどのように対処しようとしているか。
 (3) 救急患者の“たらい回し”を現行の医療制度のもとで解決するには、国・公立病院を中心にいつでも対応できる救急医療体制の確立が急務である。ところが現実には公的医療機関は十分にその役割を果しておらず、救急告示病院の八割以上を私的医療機関に頼つているのが現状である。
     国・公立病院が救急告示病院に指定されている実態を明らかにされたい。特に国立病院の比率が著しく低い原因は何故か。この国・公立病院の独立採算制をなくし、設備人員を拡充強化して、各種の医療従事者の協力による医療の充実を図る必要があると考えるが、政府はこの事態をどのように改善しようとしているか。
 (4) 救急医療に関しては、消防法で救急患者の搬送業務を定めている外は、救急告示病院に関する厚生省令があるのみである。救急医療について法的にも必要な整備を図るべきであると思うが、政府はどう考えるか。

二 休日・夜間急患センターについて、具体的な問題で質問する。
 (1) 厚生省は、昭和四十九年度から、休日・夜間急患センターについて、補助制度を発足させ、三年間に全国で二六〇ヵ所、休日・夜間急患センターを設置する計画を立てたが、現在の到達点及び昭和五十一年度の計画、到達目標はいかん。
     またその著しく遅れている原因は何か。計画遂行の展望を明らかにされたい。
 (2) 正規の休日・夜間急患センターが全国で一四〇数ヵ所しか作られない中で、自治体や地域医師会などの努力で、国の補助対象外の急患センターが六〇ヵ所ほど作られている。これらは実質的に地域の休日・夜間診療の中心的役割を果しているのであるから、民設民営のかかる急患センターをも補助対象とすべきであると考えるが、政府の考えはどうか。
 (3) 現行では人口一〇万人以上の都市の急患センターのみが補助対象とされているが、自治体の努力によつて一〇万未満の都市でも急患センターの設置されているところがある。政府はその実態をどのように把握しているか。人口一〇万に準ずるところも補助対象に拡大すべきではないか。
 (4) 運営費の補助単価が実勢単価とはなはだしく隔離しており、私が神戸と尼崎医療センターを調査したところ、基準単価は、実態の三分の一にとどまつていた。この不足分は自治体の超過負担とならざるをえないのが現状であるが、政府は補助単価を現実的なものに引きあげる考えはないか。

三(1) 救急疾患の過半数は比較的軽い病気であるが、残りは脳卒中、心筋こうそく、こん睡、頭部外傷など生命にかかわるものである。これらに対処できる施設を完備した後送病院を整備することは急務であり、第一義的には公的医療機関がこれに当たるべきである。
     いまだに救急告示病院になつていない公的医療機関に対し、その阻害要因の解決を図るとともに、休日・夜間診療所の後送病院となるよう指導すべきではないか。
     また、民間の救急告示病院にも後送病院になるよう要請し、ベッド確保料など必要な国の助成を行うべきでないか。
 (2) 国と自治体の責任で救急医療に携わる医師、医療従事者を特別の研究体制を設けて大量に養成する必要があると考えるが、政府はどのような救急医療要員の確保の対策をもつているか。
 (3) 団地、ニュータウンを作つても、医者がいないため新しい無医地区を作り出すような現状を改め、一定規模以上の団地、ニュータウンの開発には、計画的に病院、診療所を設置すべきである。政府の考え方と財政的措置を問う。

 右質問する。



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