衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和五十二年五月十二日提出
質問第二三号

 弁護士会及び弁護士に対する登録免許税の不当課税の是正に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十二年五月十二日

提出者  鈴木 強

          衆議院議長 保利 茂 殿




弁護士会及び弁護士に対する登録免許税の不当課税の是正に関する再質問主意書


 さきに、私が昭和五十二年二月二十六日に提出した表題の質問主意書に対する政府の答弁書(内閣衆質八〇第九号)は、その内容が簡単なものであるため、なお疑問の点があるので、更に政府の見解を伺いたい。

第一 弁護士会に対する不当課税の是正について
  私はさきの質問主意書において、四権分立制度、職能公共団体、職能公務員、弁護士自治権、「日弁連等は自治行政機関であり、課税主体である。」という用語を使用したが、これらの用語は、現行の法律用語であるから、容易に理解できるはずのものであるのに、政府が、これを誤解して答弁しているのは、憲法及び弁護士法の誤解に基づくものであると考えるので、更に質問する。
 一 政府は行政機関の大本であり、日本弁護士連合会(以下日弁連という。)及び弁護士会(以下これらを日弁連等という。)は、行政府及び司法府の権限のうちから、統治権より直接根分けされた狭小な行政権限を持つた国から独立した自治行政機関であり、また、政府には内閣法制局という立派な機関があるのであるから、政府は弁護士法の立法に関与することが少なかつたけれども、同法の解釈については、主権者である国民並びに日弁連等及び弁護士が納得できるような内容の解釈を示して周知すると共に、同法の施行に協力する職責があると考えるが、どうか。
 二 弁護士法は、憲法と同様、アメリカ的法律学に従つた新しい法理念に基づいて制定されたため、弁護士法が従来の法曹及び法学者にとつて誠に難解であつたこと、並びに政府が弁護士法の施行につき職務権限を有しないため、同法の解釈を誤解して日弁連等及び弁護士に対し行政上の処遇を誤つた結果、国民の間に右法理念が、未だに定着していないことが認められるが、弁護士法は実定法として二十八年間施行されて来たものであるから、政府と日弁連等は同法の立法趣旨である人権擁護という共通の行政目的達成のために協力しなければならないと考えるが、どうか。
 三 弁護士法は立法・行政・司法の三権のほかに職能公共団体自治権ないし弁護士自治権を創設したが、これは憲法の主権在民、基本的人権擁護の基本原則に基づき、国民の代表者である国会が、統治権から行政権及び司法権を根分けして、これを直接、日弁連等及び弁護士に対し「自治権」として委譲したものであると考えるが、どうか。
 四 政府は、日弁連等が、国からの委譲に基づいて行つている次の行政事務の内容を、どのように認識し、又はどのように考えるのが、適法ないし正当であると考えるのか。
  (一) 憲法は、「国民主権を維持・発展するためには、立法・行政・司法の三権に対立して、国民の側に立つて人権を擁護する弁護士の職務・権限を強化することが必要である。」との理念の下に、弁護人(憲法第三十四条、第三十七条)及び弁護士(同第七十七条)という職能人の規定を置いて新弁護士法の制定を予定していたと考えるが、右理念は正しいか。
  (二) 政府は、新憲法の実施までに、更にその後も、新弁護士法の制定をすることができなかつたのは、何故か。
  (三) 裁判所法は「優秀な弁護士の養成は、主権在民の原理に基づく国家の責任である。」との理念の下に、司法修習生制度を創設したので、最高裁判所は弁護士・裁判官・検察官を司法研修所で養成する法曹養成の一元化を、憲法実施と同時に実施したものと考えるが、右理念は正しいか。
  (四) 最高裁判所は、司法修習生の実務修習の責任を弁護士会に委託したが、この法律による委託は、国家が日弁連等に対し、いかなる権限があつてなしたものと考えるか。
      仮りに、日弁連等が単なる「公益法人」であるならば、費用のかかる右実務修習は、国家が自らなすべきことではないのか。
  (五) 司法試験は法務省が、養成は最高裁判所が、実務修習は弁護士会・裁判所・検察庁が行い、弁護士から、いつでも判事・検事に任官できるという法曹一元の制度は、主権在民の原理を実施するための最も効果的な制度であるとして法定されたものであると考えるが、どうか。
  (六) 最高裁判所の判事五名を弁護士から任命するという慣行は、官憲による人権侵害を是正する最も優れた方法であるとして実現されたものであると考えるが、どうか。
  (七) 司法研修所出身の弁護士は一万一千余名の弁護士のうちの八千余名に達したが、右八千余名の弁護士の出現は法曹養成一元の効果の顕現である。
  (八) 一万一千余名の弁護士は、行政・司法機関の上級職員の数よりも多く、定年制のある右職員よりも学識・経験が優れたものであるため、国民の人権を立派に擁護することができる実力があると考えるが、どうか。
      そして、右実力こそ、四権分立制度の基盤をなしているものであり、かつ右制度を維持して行く力であると考えるが、どうか。
  (九) 最高裁判所から弁護士会に対し、昭和五十年度に支払われた司法修習生四九〇名の実務修習委託費は、わずかに一、三二二万円であり、日弁連等は一、二一八万円の補助金を支出し、個別指導弁護士の出費及び損失は一億円を超えるものであると算定されたが、政府は右の事実を認識していたか。
  (一〇) 政府は「日弁連等及び弁護士は国が行う法曹養成についての公用負担をする義務がある。」と考えるか。
  (一一) 司法修習生制度は、国民のための制度であるから、政府は日弁連等に対し前記の公用負担につき補償をしなければならないと考えるが、どうか。
 五 弁護士が行う弁護士自治権及び日弁連等が行う団体自治権は、弁護士法により国家統治権の一部としての自治権を分与されたものであると考えられているが、右自治権は憲法の国民主権の原理に基づくものであると考えるが、政府は右及び次のことについてどう考えるか。
  (一) 弁護士法は行政法であるので、政府は日弁連等が行う行政につき国会に対し責任を負わねばならないと考えているのか(憲法第六十六条第三項)。
     1 政府が右責任を負うとするならば、政府は右責任を負うだけの権能を与えられているのか。
     2 仮りに、政府が右責任を負わないとするならば、国の行政機関の大本である政府が右免責を受ける理由は、いかなる法律に基づくものであるのか。
  (二) 政府は「弁護士法は、弁護士の使命(法第一条)にかんがみ、弁護士を国家機関の監督の下に置くことが妥当でないと考えたからである。」と答弁しているが、そうであるならば、政府は政府のほかに、日弁連等という国家の行政機関の存在を認定したものであるから、四権分立制度は実在するものであると考えるが、どうか。
      そして、右制度が実在するからこそ、日弁連等は、その行政権の行使につき国民に対して責任を負つているものであると考えるが、どうか。
  (三) 日弁連等及び弁護士は、職能公共団体及びその構成員として、主権者である国民によつて監督されているものであると考えられているが、これは正しいか。
  (四) 弁護士は、国民の依頼に基づいて、その代理人又は弁護人となつて法律事務を行うことを職務とする者であるから、必然的に依頼者の信頼に応えなければならない法律関係にあるために、弁護士は「政府及び裁判所によつて監督される必要がない。」との法原理に基づいて、弁護士自治権が創設されたものと考えるが、どうか。
  (五) 前号のような国民と弁護士間の法律関係が、弁護士自治権の基盤となつているものであるから、旧憲法時代の右法律関係は、弁護士自治権の創設によつて革命的変革を遂げたものである。
  (六) 政府は、日弁連等が行つた公権力の行使による行政行為につき、国が国家賠償責任を負うものであると考えているのか(国家賠償法第一条)。
      仮りに、国が右責任を負わないのであるならば、右責任を負う日弁連等は「憲法第十七条の公共団体」に該当する団体ではないのか。
  (七) 政府が日弁連等を「公益法人」と断定することによつて国が受ける利益は、日弁連等から前回の質問主意書記載の国税及び地方税を徴収することができる利益以外に、なお、たくさんの利益があるのか。
 六 政府は「法が立法・行政・司法の三権のほかに、これと並立する弁護士自治権という第四権を創設したものと解すべきでない。」と断定しているが、右は誤解であつて、法は国民主権に基づき弁護士自治権という第四権を創設したものであると解するのが正当であると考えるが、政府は右及び次のことについてどう考えるか。
  (一) 憲法前文は「国政は国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し」とうたつているのであるから、政府が行う行政権は国民の信託によるものであり、日弁連等が行う行政権は法律により政府が行つていた行政権から分割して、統治権から直接分与されたものであるから、政府と日弁連は対等の地位にあると考える。
  (二) 政府は、国民に対し権力を行使する地位にある者であり、弁護士は国民を政府の違法な権力行使から擁護する地位にある者であるから、日弁連等は政府と並立する「国家事務を行う行政機関ないし行政庁である。」と断定することができる。
  (三) 国民は国会議員を選挙し、公務員を任免し、憲法改正を承認する時は国家機関であるのであるから、右同様に、日弁連等は、弁護士自治を行う国家機関である。
  (四) 政府は、国家作用が立法・行政・司法の三権と右三権に対立する弁護士自治権の四権によつて行われている現行法における実体を、適法かつ正当認定しなければならないと考える。
  (五) 仮りに、前号の考えがおかしいのであるならば、「第四権を創設したものと解すべきでない。」との理由及び弁護士法の規定している行政権をどう解するのが正当であるのか。
 七 日弁連等が職能公共団体であることは、次の点において認められると考えるが、どうか。
  (一) 公共団体は、その特色として次の要件を備えているものである(俵静夫著・地方自治法、法律学全集第八巻六九頁〜七〇頁参照)。
     1 団体の設立が国の意思に基づいている。
       日弁連等は、弁護士法に基づき弁護士が、その設立を強制された団体である(弁護士法第三十二条、第四十五条)。
     2 団体の目的が法律によつて一定され、自らこれを変更することができない(弁護士法第三十一条、第四十五条)。
     3 団体の目的達成のために、必要な公権力の行使が認められる(前同条)。
      (1) 日弁連は法によつて弁護士の監督・懲戒、懲戒及び登録処分に対する裁決権等の公権力を行使する権限が与えられている。
      (2) 政府は右公権力の行使につき「弁護士の使命にかんがみ、弁護士を国家機関の監督の下に置くことが妥当でないと考えられたからであり、このような事務を行つているからといつて、日弁連等が自治行政機関となるものではない。」と断定しているが、右は誤解であつて、弁護士に対する監督事務は本来、統治権のうちの行政事務であつたものを、日弁連等が、行政主体として主権在民の憲法の原理に基づき、統治権から分与を受けてなしている公権力の行使を必要とする行政事務であり、日弁連等は、右監督事務を自己の職務・権限として執行しているものである。従つて、日弁連は自治行政機関である。
      (3) 政府は「弁護士が行う弁護士自治権は存在しない。」と断定しているが、弁護士は昭和二十四年から弁護士自治権を行使しており、日弁連等は同年から団体自治権に基づいて行政を執行してきたのである。
      (4) 政府は、日弁連の準司法裁判権の行使につき「第一審裁判権を日弁連に委譲したものでないことは言うまでもない。」と断定しているが、右は誤解であつて、日弁連が準司法裁判権の行使としてなした裁決に対しては「東京高等裁判所にその取消の訴を提出することができる。」と規定していることは、右裁決が行政事件訴訟に対する第一審地方裁判所の判決に相当する裁決であるからである。
      (5) 日弁連が前項の裁決をなすには、日弁連の資格審査会又は懲戒委員会の議決に基づかなければならないのであつて、右各会の委員には、弁護士の委員のほかに東京高等裁判所判事及び最高検察庁検事から各一名づつ、衆議院又は参議院の各法制局長のいずれか一名が委嘱されて裁決の公正を担保しているから、当然に第一審地方裁判所の裁判が省略されるのである。
      (6) 法人税法の別表第一の「公共法人」(以下別表第一の公共法人という)の中で、地方公共団体のほかに公権力を行使することができる法人は一つもない。
      (7) また、別表第一の公共法人の中で準司法裁判権を行使している法人は一つもない。
      (8) 法人税法の別表第二の「公益法人等」の中で、日弁連等と同種の国家的権限を有している公益法人は一つもない。
      (9) よつて、日弁連等は統治権に基づく公権力を行使している公共団体であるから、別表第一の公共法人である。
     4 団体の目的達成のために、国から財政上の特典が与えられると共に、他方では国の特別の関与が行われる。
      (1) 国が地方公共団体に権限を委譲したときには、政府は必ず財源措置を講じなければならない(地方自治法第二百二十三条)。
      (2) 国が日弁連等に権限を委譲したときには、政府は日弁連等に対し何等の財源措置も講じなかつたがこれは誠に不当なことである。
      (3) 政府が右財源措置を講じていたならば、この質問の必要が発生しなかつたのである。
     5 団体の目的遂行の義務が課せられている。
      (1) 日弁連等は、団体自治に基づき、その行政事務遂行の義務を課せられている。
      (2) 日弁連等は、前記のとおり、弁護士・裁判官・検察官を養成する国家目的を遂行する義務を課せられている。
     6 団体を任意に解散する自由が認められない。
       日弁連等は、弁護士を監督・統制し、国民の基本的人権を擁護する国家目的を遂行する公共法人であるから解散の自由がない。
  (二) 日弁連等は前項の1ないし3、5及び6の要件を備えた団体であるから「地域公共団体」であると共に、弁護士という職能人を構成員とする社団であるから「職能公共団体」である。
  (三) 政府は「日弁連等を国の行政機関としたものと解すべきではない。」と断定しているが、右は誤解であつて、日弁連等は国から委譲を受けた権限に基づき自己の職務・権限として、その構成員である弁護士に対して自治行政を執行しているのであるから、国の行政機関である。
     1 政府は、国が公共団体に権限を委譲したときには、その委譲を受けた団体は、自己の権限としてその公権力を行使するものであることを誤解している。
     2 日弁連等は、国の行政事務を行うほかに、団体本来の事務を執行していることは、当然である。
     3 政府は、さきに日弁連と日税連の権限を比較した時、行政権の委譲と行政事務の委任との差異を認識したはずであるのに、これを混同して、公共法人と公益法人の識別をしなかつた。
 八 地方公共団体及び職能公共団体は「国から独立して公の行政を行わしめるため、国の定めた公共の目的のために存在する団体であり、公の行政主体たる地位を有するものであつて、一定の地域を基礎とし、その区域内の構成員に対して支配権を有する公共団体である点で、国と同型の団体に属する(前掲俵教授・地方自治法六九頁参照)。」と言われているが、右は正しいか。
 九 政府は「弁護士法が「法令により公務に従事する職員」と規定しているのは、これらの者が刑法第七条第一項に規定する公務に従事する職員であることを定めたものである。」と答弁しているが、右は誤解であると考えるが、どうか。
  (一) 政府は「弁護士法の定める公務員は、本来、公務員ではないのであるが、刑法上だけは、公務員であることにしたのである。」と解しているのであるというのであるならば、誠におかしい。
  (二) 日弁連等の公務員は、真正の公務員である。
      従つて、当然に刑法第七条の公務員となるのである。
  (三) 日弁連等の会長・副会長は、毎日公務を執行しているのである。
  (四) 従つて、弁護士会館は当然に公務所となるのである。
 一〇 政府は「我が国において、国家公務員、地方公務員のほかに、職能公務員というものは存在しない。」と答弁しているが、右は明らかに誤解であると考えるが、どうか。
  (一) 日弁連等所属の公務員は公権力を行使しているので、弁護士法は明確に「公務員とする。」と規定しているのであつて、現在約千五百名の公務員が実在しているのである。
  (二) 従つて、「職能公務員」というものが存在しないのであるならば、政府は、右公務員を、いかなる名称の公務員とし、また、いかなる団体所属の公務員とする考えであるのか。
 一一 政府は第三及び第四項に対する答弁において、「法人税法の別表第一の公共法人は、国又は地方公共団体が全額出資する法人に限ることを原則としており、日弁連等を公共法人に追加することは適当でない。」と断定しているが、右は明らかに弁護士法の誤解であると考えるが、どうか。
  (一) 別表第一の公社・公団・公庫は公法上の財団法人であり、また、公社・公団は運送業・建築業などを、公庫は金融業を営む公共法人であるから、いずれも職能公共法人と分類できるのである。
  (二) 政府は、行政機関が行う行政には、公権力の行使を必要とする行政と公権力の行使を必要としない行政があることを誤解しているものと考える。
  (三) 政府は、日弁連等を「職能公共団体」という「公共法人」と認定することにつき、何等かの差支えがあると考えているようであるが、いかなる差支えがあるのか、伺いたい。
  (四) 日弁連等は前述のとおり、実定法上、明白な「公共法人」であるから、政府は日弁連等を法人税法の別表第一の「公共法人」に追加することが適当であると考える。
 一二 政府は、第五項の地方税法についての答弁において、法人の事業税(その他の七種の税についても大体同様)につき「国又は地方公共団体のほか、国又は地方公共団体が全額出資する法人について全面的に非課税とすることを原則としており、日弁連等についてこれらの団体と同一に取り扱うことは適当でない。」と断定しているが、右は明らかに法の誤解であると考えるが、どうか。
  (一) 日弁連等は公共団体であるから、地方公共団体と同一に取り扱われるべきものである。
  (二) 日弁連等は、地方税法の各種の税のそれぞれの条項において、地方公共団体と並んで「非課税の範囲」に規定されなければならないものと考える。
  (三) 大阪、横浜、千葉県、静岡県及び新潟県の各弁護士会は、弁護士会館を新築したときに、不動産取得税、固定資産税を賦課されたが、右各会は個別にこれが免除申請書を出して、苦労のうえ、いずれもこれを免除された。
  (四) 政府は、右免除については何等の報告も受けていないと答弁しているが、地方公共団体は弁護士会と密着した生活をしているため、弁護士会の実体をよく認識していたので右免除をしたものである。
     従つて、地方公共団体は、すでに、地方税法の運用において、弁護士会を非課税法人として取り扱つていたのであるから、政府の法解釈より正当な取扱いをしているものと考えるが、どうか。
 一三 政府は、日弁連等を「登録免許税法別表第二の非課税法人に追加することについては、「日弁連等は、この要件に該当していないので、別表第二の非課税法人とすることは適当でない。」と答弁しているが、右は明白な法の誤解であると考えるが、どうか。
  (一) 日弁連等は、実定法上、明白な公共法人である。
  (二) よつて、日弁連等は、別表第二の「非課税法人」とすることが適当であると考えるが、どうか。
  (三) 政府は、前項(三)記載の五弁護士会がその新築の弁護士会館につき登録免許税の調達が困難であるために、いずれも所有権保存の登記をしていない事実を知つているか。仮りに知つているとすれば右は誠にお気の毒であるので、速やかに、法律改正をする必要があると考えるが、どうか。

第二 弁護士に対する不当課税の是正について
 一 政府は「一、二及び五記載の事実については、現時点で、その事実関係を明らかにすることは困難であるが」と答弁しているが、右事実関係を認識すれば、本件不当課税がおのずから明白になるものであつたのであるが、右答弁は、政府が日弁連等の行政行為に対し何等の監督統制の権限がなかつたからであつて、従つて、政府は日弁連が行う弁護士登録につき登録税(以下弁護士登録税という)を課税する権限がないのが相当であると考えるが、どうか。
 二 政府は、日弁連等が昭和二十四年九月一日から「課税主体になつた」事実については、何等の法解釈も示さなかつたが、公共団体は租税法上、当然に課税主体となるものであるから、日弁連が右同日から弁護士の「登録税」を「登録料」という名称に変更して、旧登録税と同額の登録料を徴収することにしたのは、適法であると考えるが、どうか。
  (一) 日弁連等は、職能公共団体であるから、課税主体となる適格を有する団体であるので、会費及び登録料という名目で国の行政を行う費用を徴収しているのである。
  (二) 弁護士は、日弁連等に強制加入しなければならないのであるから、右会費及び登録料は強制的に徴収される金銭であるから、租税に該当するものである。
  (三) 弁護士は会費を滞納したときは懲戒され、退会命令又は除名処分をされるのであるから、右会費は日弁連等によつて強制的に徴収される納付金である。
 三 政府は「地方公共団体の長が行う二級建築士の登録につき、登録税を課税する権限がない」と答弁しているが、そうであるならば、公共団体である日弁連が行う弁護士登録につき、政府は登録税を課税する権限がないと断定するのが相当であると考えるが、どうか。
 四 政府は「過去いかなる時点においても二重課税が発生した事実はない。」と答弁しているが、日弁連は昭和二十四年九月一日かう昭和三十八年三月三十一日までの間において弁護士登録税を徴収した事実がなかつたことは「登録取扱規則」によつて一見明白であるから、政府は現在においても登録税を徴収する権限がないものと考えるが、どうか。
 五 政府が仮りに日弁連を「公益法人」と断定していたとしても、国家機関の監督の及ばない公益法人が取扱いをしている弁護士登録に対し登録税を賦課し、これが徴収を命ずることは、税務行政における正義に反することであると考えるが、どうか。
 六 福原忠男弁護士著の「弁護士法コンメンタール」(八四頁)は、弁護士登録税の徴収につき「弁護士の登録制度の特殊性にかんがみると、実質的には二重課税になるものとして、疑問の余地が残されている。」と述べているのであるから、政府は右二重課税につき検討する必要があると考えるが、どうか。
 七 政府は弁護士登録税については、郵政省主管の印紙収入の款、項、目の歳入として予算及び決算に計上しているとのことであるが、政府は弁護士以外の「人の資格の登録税」については、その登録機関から、歳入の予算・決算に関する報告を受けていたが、日弁連からは何等の報告も受けていなかつたのに、これが督促をしていなかつたことは、弁護士に対しては弁護士登録税の課税権がないことを認識していたものと考えるが、どうか。
 八 政府は「日弁連は登録税法第二十五条の登記機関であるから、登録するときに、登録税の納付の事実を確認しないまま登録することは許されない。」と答弁しているが、右は誠におかしいと考えるので、次の点につき、どう考えるか、理由を伺いたい。
  (一) 日弁連は、政府に対し独立の登録機関であるから、右第二十五条の登記機関には該当しないものである。
  (二) 日弁連は、仮りに、弁護士登録税を収入印紙をもつて納付するものがあつても、右収入印紙を消印する職務権限がないものである。
  (三) 従つて、日弁連は政府に対し、弁護士登録税の徴収を報告する権能がない。
 九 政府は、日弁連の行う行政につき何等の権限もないのであるから、弁護士登録税の規定の削除については、日弁連が議員立法によつて行うべきであると考えているのか、どうか。
 一〇 以上述べたところによると、日弁連は課税主体として弁護士登録税に代えて、登録料を徴収しているのであるから、旧登録税法第七条の規定は死文化したものと考えられるので、登録免許税法別表第一の二十三の(一)の規定は削除されなければならないと考えるが、どうか。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.