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昭和五十二年十一月二十五日提出
質問第二四号

 金熊寺川の環境破壊を防止する対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十二年十一月二十五日

提出者  荒木 宏

          衆議院議長 保利 茂 殿




金熊寺川の環境破壊を防止する対策に関する質問主意書


 金熊寺川は和歌山県三峰山から和歌山県那賀郡岩出町を経て、大阪府泉南市に入り男里川に合流し、大阪湾南部に流入する全長十数粁の二級河川である。泉南市民はこの金熊寺川の川水を上水道源として、金熊寺地区で日量百トンを簡易水道で、また六尾地区で日量約四千トンを上水道で取水している。しかるに和歌山側に当る金熊寺川の上流の谷間に岩出町のゴミ焼却場の燃えがらが投棄されており、そのうえ附近では和歌山県知事により、岩石の採取が認可され、採石汚泥が金熊寺川に流出しているばかりか、周辺国有林が広範囲にわたつて採石業者の採取に委ねられ、環境保全と健康保持のうえから、下流地域住民に多大の不安を与えている。よつて日本科学者会議大阪支部萱村善彦氏及び泉南市会議員和気豊氏らの調査指導等に基づいて次のとおり質問する。

一 岩出町のゴミ焼却場の残灰(固形状燃えがらを含む)は金熊寺川の最上流の谷間にえん堤を設けて投棄されており、右えん堤からの浸出液が合流して流水となり、金熊寺川に注入してその水源となつているばかりか、周辺地下水をも汚染している。
 (1) これは廃棄物の処理及び清掃に関する法律十六条二項一号若しくは二号に定める投棄禁止規定に抵触するおそれのある行為ではないか。
 (2) もしそうだとすれば投棄の中止を含めてどのような是正措置をとるのか。
二 日本科学者会議大阪支部の大阪の水系環境保全研究会は、昭和五十一年七月二十八日、前記残灰と、残灰を含む処分地の土壤と、汚染されていない附近の山土を採取し、その金属成分について乾量十グラムの試料を王水分解ののち原子吸光法によつて分析したところ、次の結果を得た。(単位 mg/10g 乾量)
      クローム ニッケル カドニウム
  残 灰 そ の も の 320 196   70 34 4.6 27,000
  処 分 地 の 土 壌 240 46   42 26 1.4 19,000
  附 近 の 山 土 240 46   42 26 1.4 19,000

  また右研究会が同五十年十二月二十一日採取した金熊寺川水質の検査結果は次のとおりである。
    過マンガン酸カリ消費量 塩素イオン     硬度
  処分地下流20米地点 11.69 153   1.10   74
  汚染よ無関係な支川上流 5.06   0.04   10
  ゴミ焼却場横 12.96 10   0.60   26

  更に金熊寺川水系の生物相について付着藻類と底生動物を調べたところ、汚染と無関係な支川上流地点では昆虫類においてはウスバガガンボやシマトビケラ類などを中心に、その種類、量とも豊富であるのに比し、焼却場横では汚濁に強いとされるシロハラコカゲロウを中心とした生物相となり、清水域の指標であるトビケラ類は減少している。
 (1) 前記研究会の土壤検査、水質検査、生物相調査の結果によれば岩出町のゴミ焼却場の残灰投棄により、金熊寺川上流は相当汚染されているのではないか。
 (2) そうだとすれば仮に廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反にならないとしても、右投棄は不当ではないか、投棄の中止、廃土の撤去など適切な対策をとることが望ましいのではないか。
三 いずれにしても廃棄物の処理については広域的な対策が必要であるところ国の施策は立ち遅れており、そのため自治体はその対応に苦慮しているところである。この際政府の対策を財政的措置も含めて詳細に明示されたい。
四 和歌山県那賀郡岩出町押川字風吹水呑谷における岩石採取中の採石場から金熊寺川に汚泥が流出して、金熊寺地区の簡易水道の汚濁が頻発している。
 (1) 通産大臣若しくは和歌山県知事は汚泥流出につき、採石法に定める調査、指導並びに是正措置を行つたかどうか。
     その内容及び結果はどうか。
 (2) 採取認可の条件として沈殿池の設置が義務付けられ、その基準は採取面積一〇、〇〇〇平方米につき、二四〇立方米と言われるが、これではわずか二四粍の降雨に堪え得るに過ぎない。再検討の必要はないか、また現地に設けられた沈殿池の実測値はいくらか。
五 認可された採取計画によれば、司建設工業株式会社だけで、九六、七八二平方米の採取を認可されているが、採取後の裸山の植生修復計画の詳細とその実施期間、施行主体、監督責任等を明らかにされたい。
六 なお、認可計画には一五、八六二平方米の国有林(六七林班)が含まれているが、近年和泉山系は岩石採取が激増し、本件現場周辺だけでも、男里川上流三箇所、菟砥川上流五箇所、山中川上流に二箇所、金熊寺川上流に五箇所と男里川水系だけで合計一五箇所にのぼる。林業基本法、森林法、自然環境保全法等の森林保護の趣旨に照らし、国有林の広範な伐採と岩石の採取がなぜ必要であつたか、なぜ認可されたか、地区住民の首肯し難いところである。
 (1) 前記国有林の伐採と岩石の採取がなぜ必要であつたか、なぜ認可されたか明らかにされたい。
 (2) 本件採石は金熊寺川の水源林を破壊し、周辺の泉南市つづら畑地区などの防風林を伐採するものとして自然環境破壊のおそれはないか。
 (3) 採石後の災害防止計画の内容及び植生復旧計画の詳細を明らかにされたい。
 (4) 本件採石の対策となつている国有林(六七林班)の境界を特定されたい。現地では事業関係者の説明を聴するも特定不能であつたので、起点を明示した上で距離、角度を特定して、前記一五、八六二平方米の国有林の境界の特定を求める。
 (5) 本件認可(和歌山県知事認可番号二四号、二四(変)号)に当り、採石法三十三条の六により、泉南市長の意見を聴取したかどうか。本件採石場は泉南市の境界に近く、和泉山脈の分水嶺より大阪府泉南市側に在り、採石に伴う影響は主として泉南市側に発生するものであるかどうか。

 右質問する。





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