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昭和五十三年五月二十五日提出質問第四〇号
霞ヶ浦総合開発事業に伴う漁業補償等に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和五十三年五月二十五日
提出者 久保三郎
衆議院議長 保利 茂 殿
霞ヶ浦総合開発事業に伴う漁業補償等に関する質問主意書
水資源開発公団によつて施行されつつある霞ヶ浦総合開発事業に伴う漁業補償等に関し次の通り質問する。
二 右の霞ヶ浦総合開発事業の実施によつて損害を受けるとされた漁業協同組合の組合員である漁業者の漁獲物を買取り、加工している水産加工業者に対しては、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」の補償対象は、「土地の所有者、漁業権等直接権利を有する者に対して行うものとされている。水産加工業者が受ける影響は、直接的なものでなく、漁業者から購入した魚を加工し販売するというように、流通過程で生ずる間接的なものである。したがつてこのような第二次的なものは、補償の対象とならないものである。」との見解に立つて関係水産加工業者の補償要求には応じがたいとしているが、損失補償基準要綱のいかなる条項に基づく解釈であるのか、明らかにされたい。
三 補償要求をしている霞ヶ浦北浦水産加工業連合会(代表、茨城県行方郡麻生町麻生、平野士郎)の組合員である水産加工業者は、前記の補償の対象とされた関係漁業協同組合員の漁獲物が、短時間の間に腐敗する淡水魚であるため、鯉、鮒等の活魚向き以外の漁獲物は、漁獲後直ちに佃煮、煮干等に加工し処理することを一貫して行つている実情である。
従つて、これら漁獲物は漁業者と加工業者との問ですべて直接取引され、そこには市場性が存在しない全量買取り制を基本とした特別取引契約が成立しており、漁獲と加工が分離できない関係にあつて、漁業者と加工業者は不可分の関係にある共同事業体をなしているものである。
以上の観点からするならば、霞ヶ浦総合開発事業実施に伴う損失補償は関係漁業者と同様、これら水産加工業者にも実体に即して行われるべきものである。前記のように一般的な水産加工業の位置付けをもつて「第二次的なものは、補償の対象とならないものである」とする見解は誤りであると思うがいかん、その見解を明らかにされたい。
四 若し三の見解に立つとしても、なお現行の「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」によつては補償しがたいとするならば、この基準要綱を改めるべきであると思うが、いかに考えられるか。
右質問する。