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昭和五十三年六月十五日提出
質問第五八号

 大多喜天然瓦斯株式会社のガス料金値上げに関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十三年六月十五日

提出者  柴田睦夫

          衆議院議長 保利 茂 殿




大多喜天然瓦斯株式会社のガス料金値上げに関する質問主意書


 昭和五十三年五月十九日、大多喜天然瓦斯株式会社(以下「大多喜天然瓦斯」という。)は、通産省東京通産局長に対し、平均約二五%にのぼるガス料金の値上げを申請した。大多喜天然瓦斯は、千葉県茂原市、千葉市、市原市、八千代市など県内約四万六千戸に家庭用ガスを供給しているものであり、県民生活に与える影響は多大なものがある。
 大多喜天然瓦斯は、国民固有の財産である天然ガスを原料として事業を行つていることから、今回の値上げが自らの経営責任を県民に転嫁するものだとの疑問もあり、政府の見解を伺うものである。

一 大多喜天然瓦斯は、関東天然瓦斯開発株式会社(以下「関東天然瓦斯開発」という。)の一〇〇%出資の子会社である。また関東天然瓦斯開発は、鉱業法に基づく天然ガスの鉱業権を有する会社で、株式の約六四%を三井東圧株式会社(以下「三井東圧」という。)が所有する三井東圧の系列会社である。つまり、関東天然瓦斯開発が天然ガスを採取し、その大部分を三井東圧に売り渡し、残りを一〇〇%出資の子会社であり、ガス事業法に基づく一般ガス供給事業者である大多喜天然瓦斯を通して天然ガスを一般消費者に供給しているのである。
  今回の値上げについて大多喜天然瓦斯は、原料費の高騰を第一の理由に挙げており、大多喜天然瓦斯の値上げを検討するためにはどうしても関東天然瓦斯開発の卸売ガス料金が適正であつたかどうかの検討が必要となる。
 1 関東天然瓦斯開発は、ガス事業法第二十四条に定める卸供給事業者であるが、通産省ではすでに、この卸ガス料金の値上げを認可しているが、認可の理由、認可料金及び供給条件はどのようになつているのか。
 2 卸ガス料金の値上げの認可の際、これが家庭用ガスにどのような影響を及ぼすかの検討がされたものと考えるが、どの程度の割合で家庭用ガスにはねかえるとの判断を持つていたのか。
二 大多喜天然瓦斯は、今回の値上げの理由について@原料費の高騰 A資本費の増加 B諸経費の増大を挙げている。
  今回の値上げを検討する前に、まず指摘しなければならないことは、前回の昭和四十九年十一月の値上げ申請時の説明が、昭和五十五年末までの六年間で累積赤字を解消するとされていたにもかかわらず、一六%も値上げ率を圧縮された認可料金でさえも、わずか二年間で累積赤字を解消してしまつたという実情である。これは過大な水増し申請の結果であることは明らかである。
  今回の値上げは、前回のように累積赤字の解消が理由ではなく、先に指摘した親会社の卸ガス料金値上げが最大の理由であり、関東天然瓦斯開発と大多喜天然瓦斯の経営努力によつて十分解決できるものであり、値上げの正当性はないと考えるものである。このような立場から、大多喜天然瓦斯の値上げについての見解を伺うものである。
 1 通産省の「ガス料金算定要領について」によると、「原料費は、適正な見積原価によるものとする」とあるが、通産省としてはすでに原料を供給している関東天然瓦斯開発の卸ガス料金を認可しているのであるから、ガス料金算定の前提はすでに決まつてしまつているのである。こうした実情のなかで通産省は、大多喜天然瓦斯の「適正な見積原価」を改めて算定することをやるのかどうか。
 2 この「適正な見積原価」を算定する上で、関東天然瓦斯開発についても事情を聴取するのかどうか。
 3 大多喜天然瓦斯は、家庭用ガス以外に、日立製作所茂原工場などに工業用ガスを供給している。これらのガス料金は、一m3当たり二十四円という格安の特約料金となつている。この特約料金の法的根拠について通産省は、ガス事業法第二十条第一項ただし書「特別の事情がある場合において、通商産業大臣の認可を受けた時は、この限りでない」を適用していると説明している。しかし「ガス事業法解釈令規集」(資源エネルギー庁公益事業部ガス事業課・ガス保安課監修)でもただし書の「特別の事情」とは、「たとえば天災地変等により、災害を受けた地域について緊急にかつ臨時的に料金を割引く必要が生じた場合」など「あらかじめ予測しがたい事柄に対してのみ適用する」としているのである。このように特約料金の根拠にガス事業法第二十条第一項ただし書を適用するのは不当な解釈であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
 4 日立などの認可の基準はどのようにして算定するのか。
 5 この大多喜天然瓦斯のガス料金算定については、親会社である関東天然瓦斯開発との関係を明確にすることが必要である。例えば、これらの会社は、電話や事務所が同一であるなど資本費や諸経費などで重複するところがかなり存在する。こうした実情から、ガス料金の算定を厳正に行うためにも、ガス事業法第四十七条の立入検査をし、十分な調査を実施すべきであると思うが政府の見解をお伺いしたい。

 右質問する。





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