質問本文情報
昭利五十四年五月十日提出質問第二九号
東京湾岸道路の建設に伴う環境への影響に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭利五十四年五月十日
提出者 木原 実
衆議院議長 ※(注)尾弘吉 殿
東京湾岸道路の建設に伴う環境への影響に関する質問主意書
東京湾岸道路(東関東自動車道・国道三五七号線の低速・中速を含む。)の建設に伴う環境への影響には憂慮すべきものがある。よつて左記のとおり質問する。
イ 建設省作成の環境影響評価技術指針に基づくアセスメントの結果を明らかにして欲しい。
ロ 建設省の環境影響評価技術指針は、環境庁で開発している計算モデルと異なる方法で実施しているが、なぜか。その差違と理由を明らかにされたい。
ハ アセスメントの照合を行つているのか。行つていないとすればなぜか。道路完成時における大気汚染や騒音等の環境がどうなるのかの計算は、すべての発生源を計算のなかに入れて、はじめて道路による汚染の数値、それが環境基準を超えないかどうかが判定できると考えられるがどうか。
ニ 都市計画法第十三条の都市計画基準についての、千葉県の公害防止計画に適合する計算結果を明らかにされたい。(国道一四号線・三五七号線・東関東自動車道及び市道の年度別、車種別、時間帯別の交通量と自動車別のNOxと粉じんの排出量、自動車別の騒音、各規制車の年度別代替率)
二 当該地域の環境対策について次の点にお答え願いたい。
イ 当該地域は、現状でも国道一四号線が環境基準を超えている状況にある。沿道の住民は、深夜に東京方面に向かう大型車の騒音に悩まされ、風邪をひきやすく、直りにくいなどの症状を訴えるものが多い。環境対策を立てるために疫学的調査をやるべきだと考えるがどうか。
ロ 道路計画の沿線には保育園、幼稚園、小学校、病院等がある。これらの施設に対する交通事故防止、静安を保つための対策は考慮しているのか。
ハ 気象庁の調査によると、東京湾の底部に当たる当該地域は、風の弱い日は東京湾からの風、房総方面からの風、鹿島方面からの風の周東域であり、このためこの地域は光化学スモッグ(オキシダント濃度)が全国平均より高い。このような地域に十四車線もの道路を建設しても、光化学スモッグの発生に影響はないのか。
ニ 当地区の反対側には検見川小学校があり、千葉市が環境測定を行つているがその結果によると、NO2(二酸化窒素)は高い年で平均値〇・〇三八ppm、低い年で〇・〇二八ppmである。千葉県は新環境基準で一日平均値を下限の〇・〇四ppmを採用するとしている。これは年平均値にすると、非超過確率九八%値で、〇・〇一四%となる。そうすると現状でもこの倍以上の濃度である。また当地区に隣接する幕張埋立地にはゴミ焼却、下水汚泥焼却、工場、事業所、第二湾岸道路などそれぞれ新たな発生源の建設が予定されている。そのような状況のなかで将来にわたつて環境基準が守られ得るのか、具体的な回答を願いたい。
三 当該地域の住民は、道路建設に伴う環境汚染について著しく不安を抱いている。沿道住民に対してこれまでその要望を聞き、その不安に答えるための説明会、話合いを行つたことがあるか。その経過と今後の方針を示されたい。
右質問する。