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昭和五十五年七月二十四日提出
質問第三号

 大都市での経済地盤沈下地域の産業振興と中小企業対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年七月二十四日

提出者  榊 利夫

          衆議院議長 福田 一 殿




大都市での経済地盤沈下地域の産業振興と中小企業対策に関する質問主意書


 東京や大阪などの大都市地域では、企業の地方転出により、産業経済上の構造変化と地盤沈下が大きく進んでいる。その結果、当該地域内の中小企業はその存立を根底からおびやかされており、中小企業対策、都市政策としても、新しい対応が求められている。
 東京城南地域(大田区・品川区)に例をとれば、この地域は長年、京浜工業地帯の中心となつてきたが、工業再配置促進法による企業の地方転出や、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律による首都圏既成市街区内の大型工場建設制限などのため、いま述べた産業経済上の構造変化と地盤沈下が大きく進み、機械、金属加工、電気関連の中小下請企業とその従業員は深刻な打撃を受けている。しかし、(1)城南地域の産業と中小企業群は全国的にみても群をぬく高い技術水準を継承し、それを駆使できる事業者と技術労働者を擁していること。(2)多種類の工業部門を内包した高加工度アセンブリー産業として、広範囲高密度の地域的集積を形成していること。(3)大消費地東京の一部にあり、京浜、京葉の二大工業地帯を結ぶ交通、輸送のネットワークの要を占めるなど、経済地理的にも産業立地上でも有利な条件をもつていること。このような特徴から、この地域が多彩な生産活動の発展性を内在させ重要な役割を果たしうることは明らかである。この城南地域にみられるような東京、大阪など大都市地域の中小企業が直面している困難を打開するため、しかるべき措置が講じられるべきだと考える。この見地から、以下の事項について質問する。

一 大都市地域における経済地盤の沈下が中小企業に与えている影響、その現状と問題点について、政府の現状認識はどうか。
二 現行の諸制度を駆使することだけでは、この危機を打開することは困難であると考える。例えば「特定地域産業振興法」(仮称)といつた声が強い。こうした点で特別の法及び制度が必要になつていると考えられるが、政府はその意思があるか。
三 少なくとも、実情の調査と分析、現行諸制度の見直しは、早急に着手すべきである。この点明確な答弁を求める。
四 根本的な対策について検討を加えるとともに、現行法の運用により対応できる問題については、直ちに対策を講じるべきと考えられるので、次の問題についても政府の見解をただしたい。
 1 工場共同利用事業制度は、他の高度化事業と異なり利用しやすい特色があるというが、東京の場合をみると申込みゼロ、利用者ゼロである。その最大のネックは地価の高騰で土地取得困難と、将来の採算に不安があるからである。この制度が生きるような改善策を講じる考えはないか。
 2 利用度が城南地域でも高い東京都立工業技術センターでは、国の補助金の増大を強く望んでいるが検討の用意があるか。
 3 中小企業の技術の向上は、城南地域で切実に求められている。その声にこたえ「工業技術情報センター」(仮称)を東京特別区が設置しようとするときは、国は補助すべきだと考えるがどうか。
 4 最近、電力、ガス料金引上げに伴い、下請単価が不当に引下げられる事例がおこつている。また、管理検査と称し不良品が出た場合、その責任をすべて下請中小企業にかぶせる「不当返品」が増えている。以上の二点について速やかに調査、指導すべきであると思うがどうか。
 5 下請代金の法定支払期限を納品の日から三十日以内に、支払手形の期限は法定支払期限後九十日の範囲で、公正取引委員会が業種ごとに定める期間を超えないようにするなど、下請代金支払等遅延防止の強化改正が必要と思うがどうか。
 6 労働災害の防止、労災患者に対する医療サービスの充実、傷痍者訓練の充実は依然として大きな課題だが、これらの施設拡充はこの十年間微々たるものである。政府は現状で十分と考えているのか。
 7 雇用促進事業団が行う中小企業レクリエーションセンターの今後の建設計画及び東京城南地域について建設を考慮しているかどうか。

 右質問する。





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